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JEC Paris innovation award 2019 から見る業界動向

2019-04-08

JEC Paris innovation award 2019 が先月発表されましたね。
発表のあったカテゴリーは以下の通りです。

AEROSPACE – APPLICATION
AEROSPACE – PROCESS
AUTOMOTIVE – APPLICATION
AUTOMOTIVE – PROCESS
CONSTRUCTION & INFRASTRUCTURE
SUSTAINABILITY
SPORTS & HEALTHCARE
3D PRINTING
LAND TRANSPORTATION
INDUSTRY & EQUIPMENT
PUBLIC PRICE

それぞれのカテゴリーごとに今回の受賞テーマを見ていきたいと思います。

その後、今回の受賞テーマを踏まえ、業界の動向を述べたいと思います。

AEROSPACE – APPLICATION

Winner: Herone (Germany) and partners TU Dresden (Germany), Victrex Europa GmbH (Germany).

Injection forming of gears on CF-PAEK drive shafts

Injection forming of CF-PAEK composite profiles with CF-PEEK – a smart progression of the overmoulding technology to reach the next-level of connection strength for integral composite profiles.

5年ほど前から盛り上がっているオーバーモールディングのテーマです。
今回新しいといえるのは、使用しているのがPEEK等のPAEKといったスーパーエンプラであることでしょう。

これについては関連する技術資料がこちらのページ(injection forming of gears on highperformance CF- PAEK drive shafts)で見られますのでこちらもご覧ください。

PAEK というのは Polyaryletherketone (ポリアリールエーテルケトン)の略で、ケトン基(-CO-)やエーテル基(-O-)がパラ位(つまり直鎖)でアリール基(芳香族[ベンゼン環]とアルキル基[一般的な炭化水素])と結合しているものの総称です。

PEEK や PEKK 等は PAEK に含まれます。

スーパーエンプラですので、極めて耐熱性が高い結晶性の高分子になります。

上記で紹介した資料をみると、

Organo Tubes

というPAEK(詳細は書かれていません)をマトリックス樹脂とする、
CFからなるUDテープを組紐として中空材とし、
そこに上からPEEKの短繊維GFで射出成形する、
というのが大きな流れです。

※組紐については以下のコラムもご覧ください。

はじめてのFRP ブレイディング ( 組物 )とは

今回は歯車の内側をCFUDのテープで構築し、
歯の部分をGF射出成形で成形するというのが概要です。

当然ながらスーパーエンプラでオーバーモールディングをできるようになった、
というのは大きな一歩ですが、それに加えて歯車の内側形状を3D曲面にしたことでシャフトにロックできる、というのも売りのようです。

ねじり荷重による破壊形態を見ると(上記資料のp.15)、
最初にオーバーモールディングを行った最内面にクラックが入り、
その後しばらくしてからOrgano Tubeとオーバーモールディングの境界層に剥離が生じる、
と書かれています。
シャフトにつながった歯車としての機能は簡単には失わないということが言いたいようです。

つまり、シャフトにつながった歯車、つまりギアとしての役割は、
比較的高荷重まで果たすことができる、
ということが言えるとのことです。

クラックが入るとアレルギー的に許せない、
という設計者の方がいるのは理解していますが、
熱可塑性FRPは金属材料と比べて圧倒的に靭性が高いことを考慮すると、
多少の破壊が起こったとしてもギアとしての機能を失わないことから、
製品機能を維持できる荷重範囲が広い、という解釈もできます。

いずれにしてもオーバーモールディングの許容範囲が、
スーパーエンプラまで広がってきたというのは注視すべき事実です。

EROSPACE – PROCESS

Winner: Profactor GmbH (Austria) and partners Airbus Defence and Space GmbH (Germany), Danobat (Spain), Dassault Systemes SA (France), FIDAMC- Fundación para la Investigación, Desarrollo y Aplicación de Materiales Compuestos (Spain), IDEKO S. COOP (Spain), InFactory Solutions GmbH (Germany), M. Torres Diseños Industriales SA (Spain), Profactor GmbH (Austria)

Zero-defect manufacturing process

The development is a zero-defect manufacturing process for large composite parts. It uses inline monitoring and decision support systems to avoid defects showing up only during final NDT.

これはとても興味深いテーマですね。

インラインで形状検査、非破壊検査をし、
その結果をプロセス側にフィードバックして、
プロセスパラメータの最適化を目指すというシステム構築テーマです。

これは後日、きちんとコラムで考察しますが、
取り急ぎ概況を述べると以下のようになります。

– 形状検査には Photometric stereo という異なる光源からの陰影差から形状計測する技術を適用

– データ処理には AI を活用
※部分的最小二乗回帰を基本とし、Takagi–Sugenoのファジィ論理を基本モデルとする

– 形状、非破壊検査結果データをプロセスデータとしてフィードバック
※ディープラーニングによりフィードバック前のデータ処理を最適化

– 非破壊検査は active thermography 技術を応用

– Go/No-goゲージ( decision support tool と述べられています)とその運用も工程最適化に含まれる

概況については以下の所にも書かれています。

Machine Vision – Zero Defect Manufacturing

このテーマの興味深いところは、
FRPに特化しているのではなく、

「工程全体を俯瞰した視点を保持しながら、検査工程全体をシステムとしてとらえている」

というところです。

AIを用いたプロセスフィードバックなども、
技術的には言うほど単純ではなく、課題も多いですが、
いずれにしてもトータルを見て工程を安定させようという視点が良いと思います。

Profactor GmbH という企業は私も話したことがありますが、
比較的新しい企業です。

検査ヘッドとその制御部分に特化した企業であり、
柔軟性もあるという印象です。

若い企業でもうまく全体を巻き込んでシステム設計ができるというのは、
企業規模や歴史にこだわらない欧州らしい取り組み方法ですね。

日本も徐々にそのような文化になりつつあるのもうれしいニュースです。

今後、このようなシステムがFRPに適用されるようになると、
半強制的に異業種との関わりが増えてきます。

このような業種間交流こそが、
国内外問わず村社会になりがちなFRP業界の発展に最も必要とされる流れだと私は考えており、
当社も含め、比較的新しい企業がこのような流れを生み出していければと思います。

非常に良いテーマがInnovation Awardを受賞したと思います。

今後が楽しみですね。

AUTOMOTIVE – APPLICATION

Winner: Polyscope Polymers (Netherlands)

Composite guide rails for a roller-blind sunroof

The first time that a thermoplastic composite successfully replaces aluminium for guide rails on roller-blind sunroof modules.

四輪自動車のサンルーフのローラーブラインドにFRPを使ったというテーマです。

以下の所にも概況が述べられています。

https://www.materialstoday.com/composite-applications/products/sunroof-guide-rails-win-innovation-award/

結論から言うと、あくまで個人的見解ですが何故このテーマが受賞したのかわかりません。

設計上も材料上も真新しさはないからです。

考え方が金属の代替であり、コンセプトとして前途多難であることに加え、アプリケーションがコストに対して厳しい四輪自動車です。

言いたいことはわからないではありませんが、
今回テーマとして挙げられているものをFRP化する動機が金属代替以外、殆ど見当たらないのです。

金属代替からの軽量化という材料からの観点にこだわらず、システムや形状設計という、より広く、かつ高い視点からテーマが受賞することを今後は期待したいところです。

AUTOMOTIVE – PROCESS

Winner: Evopro Systems Engineering Kft. (Hungary) and partners eCon Engineering Kft. (Hungary), HD Composite Zrt. (Hungary), Université de technologie et d’économie de Budapest, Faculté de génie mécanique (Hungary) et Académie hongroise des sciences, Centre de recherche en sciences naturelles (Hungary)

Fast manufacturing of complex TP composites

Automated, short-cycle-time production of thermoplastic polymer composites with a special focus on high functional integration, complexity and recyclability of the parts, based on T-RTM technology.

こちらは現場重合による PA6 のRTM、
並びにコア材適用とオーバーモールディングを組み合わせたテーマです。

現場重合について、技術自体に全く真新しさはありませんが、
もし強化繊維側に一切の前処理が必要ない、
ということであればなかなか興味深いですね。

理由はPA6の原料であるカプロラクタムの開環重合反応に対し、
繊維のサイジング剤がそれを阻害するということが知られているためです。

プリフォームは Industry 4.0 を応用しているとのことで、
何らかのプロセスデータ収集とフィードバックをしているものと推測します。

コア材に発泡材料を使ったことは、FRP業界のトレンドをうまくつかんでいますね。
軽量化や断熱効果を狙うのであれば必須の設計思想といえます。

さらに、オーバーモールディングでリブ等の複雑形状成形も実現しているとのこと。
ここについては上述の通り、一種の常識になりつつあります。

このテーマで最も興味深いのは、

「リサイクル性」

という観点でしょう。

外観で Class-A を実現するためコーティング剤を用いているようですが、
その材料も従来の熱硬化材料ではなく基本的にはPA6ベースにしたことで、
リサイクルも可能になったとのことです。

できるだけモジュールを均質材にすることでリサイクル性を高めるという観点は非常に評価できます。

もちろん、厳密にいうと同じPA6でも、
分子量や添加剤が異なる、またはアロイである、
といった条件によってはリサイクルが難しくなるのは言うまでもありません。

しかし、熱硬化を使わずにPA6ベースにして、
基本材料組成を合わせることでリサイクル性を持たせる、
というコンセプトはとても重要だと思います。

リサイクルを考慮したテーマが受賞したことは、
FRP業界もトータルマテリアルサイクルに目を向け始めた証拠でしょう。

尚、概要はこちらのページ( Fast manufacturing of complex thermoplastic composites )で見ることができます。

CONSTRUCTION & INFRASTRUCTURE

Winner: Arkema (France) and partners Arkema (France), National Cooperative Highway Research Program – NCHRP (USA), Sireg (Italy), Université de Miami (USA)

Bendable TP composite reinforcements for concrete

Readily bendable thermoplastic composite bar and cable for reinforced and prestressed concrete revolutionizing the durability of construction.

これは良いテーマです。

FRP、特に耐久性の高い熱可塑性FRPは、
土木建築のような長期寿命が求められる用途で、
力を発揮しやすいと考えています。

上記のテーマはコンクリートの補強材に用いられるロッドをFRP化した、
というものです。

過去には熱可塑性エポキシ(架橋点間距離の長いエポキシ)で、
2018年に日本企業が類似の製品で innovation award を受賞しています。

Cabkoma CFRTP strand rod
Komatsu Seiren Co., Ltd (Japan) and partners Kanazawa Institute of Technology (Japan), Nagase ChemteX Corporation (Japan).

※参考: JEC 2018 Innovation award ファイナリストから見る動向

Arkema が受賞した製品は軽量というのはもちろん、
熱可塑なので熱をかければ簡単に変形できる、
さらには金属製のものと比較し、
耐腐食性に優れる、といったメリットがあります。

また、Elium というこの製品に使われている樹脂は、
熱可塑にもかかわらず引き抜き成形に使えるとのこと。

同一断面製品が多いロッドのようなアプリケーションにはかなりの強みといえます。

加えて、コンクリート成型にロッドを用いる場合、
今回のようなFRP製のロッドでも、金属製のロッドでも、
基本的には同じ設備で問題ないとのこと。

2年連続で似たようなテーマが受賞したことから、
産業界的にニーズが高まっているものと考えます。

SUSTAINABILITY

Winner: Technical University of Denmark (Denmark) and parters Centexbel (Belgium), Comfil (Denmark), Fraunhofer-Gesellschaft (Germany)

Bio4self – Self-reinforced PLA composites

Bio-based, easy-to-recycle self-reinforced composite materials using high-stiffness PLA fibres for use in sports, automotive and medical applications.

ここ昔から取り組みが進むPLAのテーマですね。

このようなテーマもリサイクル同様、
原材料を天然素材から適用しようという取り組みが良いと思います。

PLAはいわゆるポリ乳酸ベースの樹脂であり、
FRP化は比較的昔から取り組まれてきています。

PLA関連のFRPについては以下のようなコラムで書いていますので、
そちらをご覧ください。

※参考
再生医療 向け複合材料

PLAについては例えばNECは10年以上前から以下のようなとても興味深い製品を提案しています。

熱伝導性や形状記憶という機能性を観点にアプローチしています。非常に興味深いですね。このようにFRP業界よりも電気電子業界が先行することはよくあるので情報をキャッチするといいかもしれません。

NECの取り組みは以下のようなところにも書かれています。

https://jpn.nec.com/rd/technologies/bioplastics/bioplastics2.html

またPLA以外で近年注目の集まる天然素材のPFA製のFRPについては、
以下のコラムで詳細を書いているのでそちらをご覧ください。

※参考
EN45545-2 で高い難燃性を示した PFA Composite

SPORTS & HEALTHCARE

Winner: KTM-Technologies GmbH (Austria) and partners KTM-Technologies GmbH (Austria), Mitsubishi Chemical Carbon Fiber and Composites GmbH (Germany)

FMC for the KTM carbon skid plate

The first structural composite skid plate produced using an FMC/NCF/elastomer hybrid. This direct production line with a one-shot process enables the best product-market fit in series production in terms of properties and costs.

こちらについては先日のメールマガジンで書きました。

非常に興味深いテーマですね。

詳細はメールマガジンをご覧ください。

※参考

FRP関連の最新情報を効率よく入手できるメールマガジン

FRPのプロが注目する「業界最新ニュース」Vol.117 2019/3/25

KTMがFMC/NCF/elastomerでSkid plateを開発

3D PRINTING

Winner: Continuous Composites (USA) and partners Air Force Research Lab (USA), FCA / Comau (USA), Lockheed Martin (USA), Siemens (USA)

Continuous-fibre 3D printing

Continuous Fibre 3D Printing (CF3D™) combines composite materials with a 3D printing process, creating a mouldless out-of-autoclave process. The result is a drastic reduction in cost and lead times.

根強い人気のある 3D プリンティング ですね。

連続繊維を用いているのが特徴とのことです。

低コストが本テーマのポイントと書かれていますが、それ以上に

「任意の形状のものを作ることができる」

という能力が3Dプリンティングでは強みだと思います。

3Dプリンティングについては以下のようなコラムを書いたこともあるので、
興味ある方はそちらをご覧ください。

※参考
3Dプリンタ向け 熱可塑性エラストマー

Stratasys Additive Manufacturing が A350 XWB の3Dプリント部品提供元に選択

Conair の 3D printing Filament

CFRTP を用いた 3D print 電気自動車

3Dプリンターの現状と課題について

LAND TRANSPORTATION

Winner: Stratiforme Industries (France) and partners Armines Douai (France), CEF Centre d’essais ferroviaires (France), SNCF Réseau (France)

ACCUM: universal composite catenary cantilever

ACCUM is a universal composite catenary cantilever validated from 750V to 25kV and suitable for all standard and specific railtrack profiles, designed for easy supply, installation and maintenance.

これはとても興味深いテーマです。

鉄道の架線にFRPを使おうというものです。

詳細は以下のページをご覧ください。

http://www.jeccomposites.com/knowledge/international-composites-news/accum-universal-composite-catenary-cantilever

ガラスと組み合わせることで、
絶縁性を実現したというのがポイントで、
これにより部品点数を削減できたというのが大きな一歩のようです。
(部品点数は10分の1になったと書かれています)

使用している材料がSMCであることから、
複雑形状に追従させようという狙いが示唆されています。

本技術適用可能の電圧範囲は750 to 25 kVです。

当然ながら雨風に強いので、
従来の架電設備よりも長寿命になることが期待されるようです。

なかなかこの手のインフラ関係の設備は良いものだとわかっていても置き換わりが進まない、というのが世の常です。

とはいっても既得権益にこだわりすぎる人や組織は、
時に技術や事業の発展の足かせになります。

どのようにして本格的に普及させていくのか。

事業戦略が重要となるかもしれません。

INDUSTRY & EQUIPMENT

Winner: AZL AACHEN GmbH (Germany) and partners AZL Institute of RWTH Aachen University (Germany), Conbility GmbH (Germany), Covestro Deutschland AG (Germany), Engel Austria GmbH (Austria), Evonik Industries AG (Germany), Fagor Arrasate S. Coop. (Spain), Faurecia Composite Technologies (France), Fraunhofer IPT (Germany), Laserline GmbH (Germany), Mitsui Chemicals Europe GmbH (Germany), Mubea Carbo Tech GmbH (Austria), Philips Photonics (Germany), SSDT Shanghai Superior Die Technology Co. (China), Toyota Motor Europe NV/SA (Belgium)

Ultra-fast consolidator machine system

Modular production system for the mass-production of individual tailored blanks based on a piece flow approach in combination with laser-assisted thermoplastic tape placement with in-situ consolidation.

欧州で注目を浴びる平面高速積層設備です。

対象材料は熱可塑性FRP、熱源はレーザーです。

三次元ではなく、一度二次元で積層をすることで、
スピードと樹脂含侵を高めようというのが狙いです。

既にこの手の技術を応用した製品は市販され始めています。

熱可塑性FRP適用の鍵ともいえる積層工程。

それを平面積層という形で高速化、単純化し、
産業展開を早めようという優れた要素技術である印象です。

PUBLIC PRICE

Winner: Cecence (UK) and partners Acro Aircraft Seating LTD (UK), FTI (UK).

Fully FST compliant 16g composite aero seatback

Rapid hot compression moulded, fully composite 16g carbon seatback with FST compliance built in to its core, negating the need for fire proof dressing and with an out of mould paint ready surface.

これは新しいカテゴリーかもしれません。

高速プレスで航空機シートの背もたれを成形しようというテーマです。

以下で概要を見ることができます。

http://www.jeccomposites.com/knowledge/international-composites-news/fully-fst-compliant-16g-composite-aero-seatback

テーマは悪くありませんが、
新規性を感じません。

プレス成形が一番の売りだったのかもしれませんが、
それほど特別なものでもありません。

ブランクの設計方法に強みがあるのかもしれませんが、
上記のページに掲載されている情報を見る限り、
特に述べられていません。

シートの内部に使われると、
外観の細かい要望が減るので、
FRPが使いやすい、という話かもしれませんが、
技術的に重要な観点でもないでしょう。

マトリックス樹脂はフェノールと天然素材由来のものを使っていると書かれていますが、
詳細は不明です。

いずれにしても航空機の内装材に用いられている以上、
難燃性は必須といえるでしょう。

JEC Paris innovation award 2019 から見る業界動向

一言で言うと

「熱可塑性FRPがいよいよ本格的に検討され始めた」

ということを強く示唆する流れだと思います。

冒頭のスーパーエンプラ(PAEK)のオーバーモールディング、
高速平面積層装置、サンルーフのローラーブラインド、ロッド等は熱可塑性樹脂がマトリックスの基本となっています。

もともと欧州は熱可塑性樹脂の適用に積極的であることも背景にあると思いますが、
熱硬化では実現できない強みを具現化するため、
熱可塑性FRPに対する積極的な適用が進んでいると感じています。

熱可塑は熱硬化には無い強みがあるのは事実ですが、
熱硬化と比較し劣る部分があることを忘れてはいけません。

この辺りもよく吟味しながら適用を進めていこう、
という業界の流れを感じます。

もう一つがインフラへのFRP適用です。

長寿命の重要性が再認識されている昨今において、
水分による腐食のリスクが大きい金属と一線を画す戦略で、
その適用範囲を急激に広げていきそうな予感があります。

その一方でインフラ系の業界は極めて保守的な部分もあるため、
FRPの浸透にはもう少し時間がかかるかもしれません。

最後に忘れてはいけないのは、異業種との連携です。

今回で言えばAIの適用です。

これは時代の流れとして不可避な部分もあります。

個人的には産業規模が極めて小さく、
少量多品種が殆どのFRP業界ではAIが活躍できる場面はそれほど多くないと思います。

AIを活用するだけのノウハウやサンプル数が不足しているからです。

アウトプットの妥当性検証に必要な知見があまりないということもあります。

そういう背景があるにしても、
AIの活用によって何らかのブレークスルーが出る可能性もゼロではない以上、
少しずつでも異業種の技術を取り入れ、
FRP業界の産業基盤を強化するという広い視点での取り組みが必要である。

そんなことを考えている方が増えているのではないでしょうか。

今年のJECのAwardを見ていて感じるのが、

「地に足の着いたテーマが増えてきた」

ということです。

経済的な不確定さが増す昨今ではありますが、
業界自体も生き残りをかけ、
今年も攻める一年になると思います。

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