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3Dプリンターの現状と課題について

2014-11-10

"3Dプリンター"の現状と課題について成形加工学会誌に解説がのっていましたので、FRPを少し離れてこのあたりについて書いてみたいと思います。

 

3Dプリンターは熱可塑性樹脂の微粒子を熱をかけて溶融させた後に固める手法で、積層造形法ともよばれそのものの歴史は意外にも古いものです。


小玉秀男氏が1980年に発明した光造形法が始まりといわれています。


光造形というのは、紫外線で固まる硬化性樹脂を用いた方法で、樹脂層に断面にあたる形状の光を当てて硬化させ、そこに新たな樹脂層をかぶせて次の断面形状で硬化を行う、ということを繰り返すことで複雑な形状の成形が可能となります。

 

高速で試作ができるということで、ラピッドプロトタイピングともよばれていました。

 

そんな中、なぜここ数年で3Dプリンターというものが急激に騒がれてきたのかといいますと、1つはオバマ大統領が今後の戦略技術の一つとして3Dプリンターを掲げたこと、そして、3Dプリンターの設備価格が個人にも手が届くところまで低価格化が進んだという事が主要因ではないかと考えています。

 

成形加工学会誌の中野禅氏がおっしゃっているのは、空洞のある複雑3D形状を成形できるというメリットを認める一方で、3Dプリンターはまだ「遅く、高価で、不十分な」加工法であると述べており、低い表面粗度、原料コスト、高い残留応力などをあげています。


表面粗度についてはイメージがつきやすいのではないでしょうか。


少しずつ少しずつ積層していきますので、出来上がったものはよく見ると地層のようになっています。微小ながら段差もあります。これを克服するために一層あたりの厚みを減らせば、当然ながら積層にとても長い時間がかかることになります。

 

また、具体的な数値は書かれていませんが、原料コスト(主に樹脂)は今後価格が下がる可能性はあるものの、重量単価は数倍~10倍以上とのことです。数十ミクロンという小さなサイズに加工するのに手間がかかっていることが理由なのかもしれません。


残留応力についてもイメージはしやすいかもしれません。一度高温したものを室温まで冷やすので熱収縮が起こります。この様な内部応力が破壊の起点になるのはよくあることです。

 


特集記事では、複雑な形状を作るという最大のメリットを生かすことで、今後の活用のされ方が決まってくるだろうと締めくくられています。

 


3Dプリンターに関する個人的見解としては、これを個人が楽しむレベルにまで持ってきたということが大きなことだと思っています。

 

こういう形を作ってみたい、ということを「個人」が考え、それを低価格での外注、もしくは自宅で製作できるという事は一つのメリットとして大きいと思います。基本的にはプログラムで動くだけなのでオペレートスキルも必要ありません。

 

そしてすでに実用化されているようですが、医療分野への適用が特に望まれると考えます。

 

普段目に見えない臓器の形状をCTの画像などをベースに形状をデータ化して3Dプリンターによって造形できれば、実際の医療現場での手術の練習や、腫瘍の位置特定などを目の前の形状をベースに行うことができます。

 

また、歴史的建造物や仏像などをデータ化したうえで3Dプリンターなどで形状を作っておけば、補修の実施や万が一の災害での消失の時などの復元も容易になり、文化伝承の一役を担えるかもしれません。

 

3Dプリンターで拳銃を製作した大学職員が逮捕されるなど負の側面もありますが、人の役に立つという観点で活用できるのであれば、マスメディアで紹介されているように活躍の場が広がってくるに違いありません。

 


本日の記事はFRPを少し離れての記事でしたが、メディアを賑わせている技術の一つとして3Dプリンターをご紹介しました。

 

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