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炭素繊維強化熱可塑性プラスチック( CFRTP )の動向

2015-02-12

東京大学、東レ、三菱レイヨン、東洋紡、タカギセイコーなどのグループがNEDOプロジェクトの一環として、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック( CFRTP )を開発するなど、 CFRTP の拡大が見込まれています。

今日は以下の日経テクノロジーの記事を参考にみていきたいと思います。

 

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140119/328401/?ST=advanced_factory&P=1

 

やはりCFRTPの強みはその成形時間の速さです。


熱をかければやわらかくなり冷やせば固くなる、
チョコレートやろうそくのロウと同じものです。


CFRTPのマトリックス樹脂としてよく出てくるのは、
PP(ポリプロピレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PA(ポリアミド[ナイロン])などです。


そして多くの機械メーカーがCFRTPに注目するのはこの成形時間(タクトタイム)の短さといっても過言ではありません。


ただしこの常識も日々変化してきており、熱硬化性マトリックス樹脂でも高速硬化が可能なプリプレグが出始めていることは以前ご紹介した通りです。

以下の記事でご紹介したものは4分で硬化できるといわれています。

http://goo.gl/fXszLg

 

 

さて、CFRTPのメリットはタクトタイムの短さにとどまりません。

2月9日の以下のメールマガジンで室温寿命の長い熱硬化性樹脂をマトリックスとしたFRPをご紹介したように、材料の保存性、保管性というのも材料のメリットとしては大きいのです。

http://www.mag2.com/m/0001643058.html


熱可塑性樹脂をマトリックスとしているCFRTPは室温保管が可能ですが、
これは分子が重合して高分子になるという反応がすでに終わっていることが理由です。


同じ成形条件で成形しても、製造年月日と保管期間や保管条件によって、外観が変化する、内部欠陥が出てしまうという熱硬化性樹脂より、熱可塑性樹脂のほうがずっと扱いやすいですね。

 

 

しかしながらデメリットもあり、強化繊維との濡れ性、接着性が低いというのがその一つです。


記事の中では東レが強化繊維の表面処理とマトリックス樹脂の改質という2本立てで、
CFRTPの強度改善を達成したと述べられています。

 

どうしたら繊維と樹脂の界面の接着強度がわかるのでしょうか。

 

1つのやり方としてはUD材料で90°方向(Transverse方向)の引張強度をみる、
というやり方もありますが、よりミクロの評価ではマイクロドロップレット評価もあります。


以下がマイクロドロップレット評価装置です。

http://www.tohei-sangyo.co.jp/products/measurement.html

 

この装置を用いることで繊維と樹脂の接着力を直接調べることもできます。
ただし、この場合の接着力は「せん断接着力」であることを理解しておくことが重要です。

 


さて、CFRTPの研究を進めている研究機関のNEDOでは、


– PPに不連続炭素繊維を均一・等方に分散したシート

– 一方向に引きそろえたPPマトリックスのUDテープ

– 等方性CFRTP中間基材を使用して短時間成形を実現する高速スタンピング成形技術

– UDプリプレグテープを使用して中空断面構造を成形する高速内圧成形技術


といったCFRTP向けの材料、成形技術の研究を行っています。


このプロジェクトで開発した等方性CFRTP中間基材は比曲げ剛性(曲げ弾性率の3乗根を密度で割ったもの)が鋼の約3倍、比曲げ強度(曲げ強度の平方根を密度で割ったもの)が鋼の約6.7倍に相当するといわれています。

 

 

既にToyotaの燃料電池車 MIRAI にも適用されているCFRTP。


今後のさらなる拡大が予想されます。

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