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再生医療 向け複合材料

2018-05-14

今日はFRPも属する複合材料という枠組みで 再生医療 という新しい動きについてご紹介したいと思います。

 

複合材料 とは

まず最初に 複合材料 というものについて復習してみたいと思います。


複合材料というのは


– 物理的に分離可能な2種類以上の材料で構成されている

– それぞれの構成要素となっている材料の個々の特性よりも優れている、
またはそれぞれの構成要素が有しない機能を発現する


という特徴を有するものです。

私が講演やセミナーで登壇した当初(3年ほど前)は、
上記が答えられない方が非常に多かったのですが、
最近は同じ質問をすると8割くらいの方が答えてくれるようになりました。

徐々に基本的な部分の知見も広がっているのを感じます。

 

そして今回ご紹介するのは生分解性ポリマーマトリックスとし、
骨の再生に寄与するフィラーを混ぜたという複合材料になります。

 

再生医療 に適用される RESOMER(R) COMPOSITES とは

今回ご紹介する再生医療向け複合材料は、
機能性樹脂サプライヤ大手の Evonic から発売された、

RESOMER(R) COMPOSITES 

という製品です。


プレスリリースは以下のページから見ることができます。

http://corporate.evonik.com/en/media/press_releases/pages/news-details.aspx?NewsId=74102

 

EVONIC は PEEK をはじめとしたスーパーエンジニアリングプラスチックを発売するなど、
比較的ハイエンドの高分子製品を扱う化学メーカーとしてその地位を確立している一社です。

以前、スーパーエンプラを用いた他のアプリケーションとしてボルトをご紹介したこともあります。

 

取扱製品の種類は4000種以上。
製品検索用の専用サイトがあるくらいです(以下にURLを付けておきます)。

http://corporate.evonik.com/en/products/products-in-the-web/

さて、上記のリリース記事を技術的観点でもう少し読み込んでみたいと思います。


まず主体となる樹脂は ポリグリコリド ( PGA )や ポリラクチド ( PLA )だと考えられます。
それぞれ グリコリド 、 ラクチド の開環重合 によって合成されます。

PGA はポリグルコール酸 、 PLA は ポリ乳酸 とも呼ばれていますね。

乳酸は鏡像異性体(キラル)の例としても良く出てきます。

 

PGA や PLA は生分解性ポリマーとして優秀ですが、
再生医療の場合にキーワードになるのは、


「分解速度をどのように制御するのか」


という点です。より具体的には分解速度をなだらかにするイメージとなります。


この PGA や PLA の分解速度を制御するのによく使われているのが、
polyethylene glycol ( PEG )による化学修飾、いわゆる PEG 化です。

一例として以下のような評価結果もあります。


ref.
Kempe, S.; Metz, H.; Pereira, P. G.; Mäder, K. Eur. J. Pharm. Biopharm. 2010, 74, 102-108.
Schoenhammer, K.; Petersen, H.; Guethlein, F.; Goepferich, A. Pharm. Res. 2009, 26, 2568-2577.
Witt, C.; Mäder, K.; Kissel, T. Biomaterials 2000, 21, 931-938.


PEG化したPLGでは分解速度と腐食がなだらかになっているのがわかります。
特に腐食がなだらかになることで、ポリマー内に含まれるものをゆっくりと放出できるようになります。

ここがこの手の技術のポイントになるようです。


尚、放出するスピードや分解速度は骨格分子の分子量や分子量分布にも影響されるということは付け加えておきます。

従来は皮下注射すると骨形成が誘発される、

骨形態形成タンパク(II BMP II)のカプセル化

という形態が目指されていたようですが、
今回リリースされたのはペレット形態とのことで少し異なるようです。


尚、PEG化などについてはこちらのURLをご覧いただくと概要が書いてあります。
 

今回上市されるのは、Hydroxyapatite ( HA : 水酸燐灰石 )を25%含む
RESOMER(R) Composite L 210 S plus 25% HA とのこと。

今後は beta-tricalcium phosphate (β-TCP : リン酸三カルシウム  ) を含む複合材料の販売も年内に開始すると述べられています。


HA も β-TCP もどちらも骨の原料です。

合わせてこれらの材料は基本的にはX線透過性もあることから、
治療部の観察にも影響をあたえないことも合わせて述べられています。

 

FRP業界として考えるべきこと

今回はFRPも属する複合材料適用の一例として、
骨の再生医療について製品と技術の概要をご紹介しました。


今回の話はFRP業界にとっても重要な観点を含んでいます。

FRP業界にとっても医療というのは決して遠い分野の話ではなく、
上述した再生医療もそうですが、
人工関節、X線照射設備、手術器具などへの応用も検討や適用が始まっています。


軽くて強いということだけでなく人の体の組織の大部分が高分子であることに着目し、
その高分子と骨のような無機材料と組み合わせる、
または互いに溶融できない有機物同士を組み合わせることで、
人体への適用を試みる、ということも大切な材料設計コンセプトではないでしょうか。


けがや病気で苦しむ方々の手助けをするというアプローチについて、
FRP業界も今以上に貢献できることがあるに違いありません。

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