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FRP廃棄処理 の現状と必要な姿勢について

2019-07-04

今日は社会的視点から FRP廃棄処理 についての現状と求められる姿勢について述べてみたいと思います。

 

廃棄物の処理は曲がり角にきている

今話題になっている廃プラスチックをはじめとした廃棄物ですが、
これまでは中国を筆頭とした海外への輸出でそのサイクルが成り立っていました。

以下が2016から2018年の廃棄物処理量とその輸出先割合の推移です。

( The image above is referred from https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/32168afb4b8f0bfe

2017年を境に輸出量が激減しています。

これが、中国による廃プラスチック輸入制限の影響です。
昨今の廃プラスチックの削減とプラスチック利用量低減への取り組みの源泉はこのようなところにあります。

プラスチックに限らず既に以下のような事例も見られ始めています。
金属でさえも廃棄物が行先を失う時代なのです。

金属リサイクル業者 廃棄物「置き逃げ」警戒(産業新聞)
https://www.japanmetal.com/news-h2019070389301.html

本事象に対する概況については、
以下のページにわかりやすく書かれていますので、
詳細はそちらをご覧ください。

行き場を失う日本の廃プラスチック
増加する国内処理量とプラスチック抑制の動き
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2019/0101/fceb0360455b6cdf.html

 

この事象はFRP業界にも大きな影響を与えていることはあまり知られていない現実かもしれません。

 

FRPのリサイクル技術はまだ道半ば

FRPのリサイクルは現在最もホットなトピックスの一つです。

過去にも以下のようなコラムをご紹介したことがあります。

※ GFRPに近い将来求められる リサイクル
上記の記事ではSDGsの背景なども述べています。
イギリスの大学( Strathclyde University )では基礎検証が既に始まっていることも書きました。

※ 長繊維タイプのCF リサイクル アプローチ

※ 炭素繊維の リサイクル 事業動向

 

※ 東レと豊田通商による 炭素繊維リサイクル技術 共同開発
(参考)東レと豊田通商の取り組みは以下の経産省のページにて総括がなされています。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/junkai_keizai/pdf/003_02_03.pdf

※ リサイクル 性を考慮した自動車バックドアへのFRP適用

その後、様々な取り組みが継続して進められています。

ただ、残念ながら量産スケールにあるのはサーマルサイクルである、
熱分解法のみです。

これは燃焼させることで、発生する熱を回収し、
トータルのエネルギーサイクルの損失を最小化する、
という考え方です。

一部、マテリアルサイクルである溶解法(マトリックスはエステル系に限定)も始まっているようですが量はまだ少ないです。

そんな中、三菱重工業は以下のような技術論文を公開しています。

航空機複合材廃材のリサイクル利用による環境負荷低減
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/552/552004.pdf

これを見ると熱分解法と溶解法で取り出された炭素繊維と、
PA12(6,6-ナイロン)を組み合せて作ったペレット材料の特性が、
Virgin(未使用)のそれと比較し、同等以上であると述べられています。

XPSを見ると、繊維と樹脂の界面濡れ性や接着性に影響を与える官能基が減っているようですが、
FRPとしては妥当な特性を発現させたということになります。

しかしこのようなマテリアルサイクルはまだまだ途上である、
という現実は世界中で概ね同じというのが現状です。

 

いまFRP廃棄に求められているのは徹底した分別

上記のようなリサイクルは今後も検証することは必須であり、
より現実的なマテリアルサイクルを構築することの必要性は改めて述べるまでもありません。

その一方で現実も知らなくてはいけないでしょう。

以下では現実問題として求められる姿勢について話をしてみたいと思います。

今のFRPの廃棄に求められるのは、

「徹底した分別」

でしょう。

FRPがそれ単体で用いられるケースは、
現在の製品ではほとんどなく、
必ずと言っていいほど金属と組み合わせています。

つまり、FRPは

「金属とFRPの複合体」

として用いられるケースが殆どなのです。

そのため、

「この分別こそが、現段階でFRPを使用する業界全体に徹底して求められる姿勢」

といえます。

まずは金属とFRPを分離することで、
金属を可能な限りリサイクルできる状態にし、
FRPは別途処理をするというのが何よりの第一歩なのです。

しかしながら、FRPの材料や設計に知見がある人材は世界中で不足しており、
FRPと金属を分離させることの必要性や、
それに必要な技術を理解している企業は極めて限られています。

そんな中、以下のような取り組みをしている企業も出てきています。

 

※FRP複合容器の廃棄処理に対応する企業例

FRP複合容器廃棄処理対応

このような企業の力もかりながら、
適法処理し、その証明としてマニフェストを受け取る。

まずはここから始めるというのがFRP業界での必須のアプローチではないか、
というのが私の考えです。

※参考:マニフェスト制度

産業廃棄物の委託処理における排出事業者責任の明確化と、不法投棄の未然防止を目的として実施

https://www.jwnet.or.jp/waste/knowledge/manifest/index.html

 

 

上記のようにして適切にFRPが分離できれば、
処理待ちのFRP材料が増えてきます。

量が出ればリサイクルを含む処理作業について、
事業性がでてくるのです。

資本主義である以上、事業性無き仕事は長続きしません。

まずはFRPの分離を徹底し、
処理が必要なFRPを集め、その上で必要な処理を行う。

そのような取り組みが必要なのではないでしょうか。

FRP廃棄処理 についてご参考になれば幸いです。

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