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長繊維タイプのCF リサイクル アプローチ

2015-09-16

Saechsisches Textil Forshungs Institut (STFI)が取り組む長繊維タイプのCFのリサイクル事業についてご紹介します。

 

STFIは非営利の研究機関の一つで主に繊維に関連する研究を進めているとのこと。

http://www.stfi.de/en/stfi/about-us.html

ここで行われている繊維リサイクル研究の一つに関するプレスリリースが以下に述べられています。

http://www.stfi.de/fileadmin/news/documents/Kurzber_Projekt_VF120003.pdf

 

STFIは繊維に関連する高い技術を有しているようで、
バラバラになった炭素繊維を「梳綿(そめん)」する専用の機械を持っています。

 

梳綿とは、採取した繊維を櫛で均して(ならして)繊維方向が揃った綿状の塊にする作業です。
(上記は、Wikipediaから引用

 

梳綿されてマット状になったリサイクル炭素繊維のイメージ図を以下に示します。

non-woven-reclaimed-fiber

(The image above is referred from http://www.stfi.de/fileadmin/news/documents/Kurzber_Projekt_VF120003.pdf.)

このようにして作られた繊維に高圧でエポキシ樹脂を含浸させた後の物性としては以下のレベルに到達すると書かれています。
※MD、CDの解説は以下画像参照

Geosynthetic-roll-direction
(The image above is referred from http://www.fhwa.dot.gov/publications/research/infrastructure/structures/11026/003.cfm.)

– 弾性率

16GPa(MD: Machine Direction)
31GPa(CD: Cross direction)

– 強度

200MPa(MD)
500MPa(CD)

– Vf 24%

 

結論から言うと想像したよりも物性が高いですね。
まだ量産においては課題もあるようですが、既にBMWのiシリーズなどにはこの材料が採用されているようです。

車両の実物をご覧になった方はルーフ材にランダムな繊維が透けているのを見た方もいらっしゃるかもしれません。
私個人的には炭素繊維のリサイクルというのは今のうちから積極的に取り組むべき事業の一つであると認識しています。

 

クライアントの中にも炭素繊維の廃棄や途中まで使ったボビンの使い道などを悩まれているケースがあります。

 

ただし炭素繊維は2つほど大きな特徴があります。

1つは高強度中弾性のようなPANの炭素繊維は極めて細いということ。

そして、繊維そのものに導電性があること。

細い分、加工中に繊維があちらこちらに舞いやすくなり、
作業者や設備への負担が重い素材の一つです。

 

加えて繊維自体に導電性があるため、
電気系統をショートさせるリスクがあります。

そのため、リサイクルにおいては以下にして繊維が散らばらないように加工できるかが勝負の一つではないかと考えています。

 

樹脂を含浸できればそれもいいですが、
マットそのもので使いたいケースもあります。

 

このような時はスプレーバインダーのようなもので、
表層のみを固着させるというのも一つの考えです。

 

STFIが行っているようにスティッチングをするというのも選択肢でしょう。
今日は炭素繊維のリサイクル技術についてご紹介しました。

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