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ViscoTec が Huntsman 製 Filling compound に使える混錬機を発表 Vol.119

2019-04-23

ViscoTec という設備メーカーが、
Huntsman 製の Filling compound の混錬と、
その混錬したものを吐出する設備を発表しました。

Lightweight Construction: Automatic Dispensing of Void Fillers でその内容を見ることができます。

また、動画もアップされており、
こちらを見るとよりイメージがしやすいかもしれません。

本メールマガジンをご覧になっている方は Filling compound というものが、
どのようなものかご存知でしょうか。

上記リリース記事中にもありますが、
これは Void Fillers ともいわれるようです。

この言い方がよりその様子を示していますが、要は

「空隙を充填するための充填接着剤」

のイメージです。

上記の動画で紹介されていた Araldite (R) 252 のデータシートを見てみましょう。

https://samaro.fr/pdf/FT/Araldite_FT_252_EN.pdf

Aerospace Adhesives と書かれていますね。

基本はエポキシベースのものが多いです。

Araldite (R) 252 は、この名称が主剤で、末番に-1が付くと硬化剤になるようです。

この主剤と硬化剤を重量比で100:40で混合すると、
Filling Compound ( Void Fillers )になります。

特性を見てみましょう。

最も特徴的なもの。それは

「比重の小ささ」

です。

およそ0.65と書かれています。

何故このように比重が小さいのかというと、
もちろんその名の通り多少の発泡もすると思うのですが(より正確には空気を抱き込んでしまう)、
それよりも

「フィラーが入れられている」

ということがポイントです。

上記で紹介した動画にも、途中で

Including microspheres ( polymeric / glass )

と書かれています。

このようなフィラーによって比重を抑えているのです。
もちろん、コストも抑えていると考えます。

基本的には室温硬化システムであり、
23℃であれば3日間。

加速させるため70℃にすれば2時間で硬化するようです。

昨今の熱硬化システムの高速化を考えるとかなりゆっくりですが、
それなりの接着性と機械、物理特性を発現させるタイプのものであれば、
一般的とみて問題ありません。

圧縮特性としては室温で40 MPa程度。

FRPと比較すると10分の1程度、
一般的なエポキシ樹脂と比較しても半分以下しかありませんが、
用途を考えればそれなりとみて良いでしょう。

さてその用途ですが、
元々航空機業界でいうと、

「ハニカムの隙間を埋める」

ということで使われてきました。

まさに充填材です。

充填材なので、求められることは確実にその場に存在すること、
そして周りと接着することです。

そしてハニカムはエンジンへの適用はもちろんですが、
航空機では内装材にもよく使われるため、
難燃性が不可欠。

それゆえ、北米における航空機の難燃性規格である FAR 25.853 の評価結果が記載されているのです。

最近も以下のコラムで関連する難燃性については記載したことがあります。

※ EN45545-2 で高い難燃性を示した PFA Composite

接着性のある材料なので保管にも気を遣います。
5から25℃の範囲で2年間と書かれている上、
浅い容器で混錬した方がポットライフ(柔らかさを保つ時間)が長くなるなど、
生き物に例えられる熱硬化性高分子故の要件がありますね。

当然ながら材料メーカーが上記の保証をしているからといって、
それがすべてのユーザーにとって有効かは別問題です。

場合によってはより厳しい要件が必要、
またはもっと緩くても大丈夫、ということもあるかと思います。

あくまでユーザーである企業できちんと材料要件を記載した材料規格を作成し、

「どのような要件を満たせば問題ないのか」

ということを規定することが、
品質安定はもちろん、何か問題が生じた際の検証データという解決の鍵を提供するために必要である、
ということを忘れてはいけません。

話を戻します。

この Filling compound で重要なこと。

それは、

「均一に混錬すること」

です。

ここで ViscoTec の技術が登場します。

主剤と硬化剤がであるシリンジ内で、
均一になるように混錬するのが技術のポイントですが、
この混錬そのものが非常に難しい。

動画にも書いてありますが、

「主剤と硬化剤は粘度が異なる」

とのこと。

粘性の異なるものを混ぜるというのは想像以上に大変です。

私も前職に居た頃にある部品の空間にFilling compoundを詰める際、
混錬が不十分でマーブル模様になってしまいました。

当時は道具も無かったので、手で必死に混ぜましたが、
それではだめだったようです。

ViscoTec の混錬機では主剤と硬化剤がら螺旋(らせん)状態で上から下に流れるように設定しており、
それらが流れながらお互い混ざり合うという形式です。

2液性の接着剤ではよくある混錬方法です。

このようにして均一化した Filling compound を安定して吐出する設備は、
航空機産業はじめ様々なところで活用できると考えているようです。

上記の動きから読み取るべき戦略は何でしょうか。

ここで紹介した戦略のポイントは、

「材料メーカーと設備メーカーが手を組む」

という所にあります。

材料メーカーは材料だけ売ればいいという形態が成立しないケースも出てきており、その際は

「材料をどのようなプロセスを経て使えばいいのか」

という所までを具体的に提示することで、
結果的に材料を購入するユーザーのすそ野を広げていこうという狙いがあります。

一般的に材料メーカー側が規模の大きい傾向があることから、
設備メーカー側から見てマーケットでの信頼性と大規模な顧客の存在がある程度確約できます。

それ故、設備メーカーも特注設備に関わっても開発資金の回収はできるだろう、
という目論見があるでしょう。

今後もこのような大手化学メーカーと、
特化技術を有する設備メーカーの連携は増えていくかもしれません。

 

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