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損傷した貯水タンクのFRPによる補修

2024-01-07

損傷した貯水タンクはFRPで補修できる

 

能登半島地震で被害を受けられた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

様々な報道や情報を見るにあたり、
FRPで何かできることはないかと自問しておりました。

そのような中、地震により被害を受けた病院の方が、

「貯水タンクが損傷し、自衛隊による給水を行っても水がたまらない」

という趣旨の話をしていることを報道で拝見し、
このコラムを書こうと思いました。

貯水ということに関し、
現段階で問題を抱えている病院、集合住宅、施設等の方にとって、
何かしらのご参考になればと思います。

 

 

 

損傷した貯水槽のFRPによる補修方法の概要

先に結論を述べると、

「基礎となるブラケットを必要に応じて補強・交換の上、
貯水タンク内面をFRPでオーバーレイする」

という方法で、貯水槽の”水をためる”という機能は回復します。

 

本点についていくつかポイントを解説します。

 

貯水タンクの多くはFRP製

FRPというのはFiber Reinforced Plasticsの略で、
繊維と樹脂を一体化させた複合材料です。

病院やマンション等の建築物では、
金属製のものもありますが、多くはFRP製の貯水タンクを採用しています。

FRPは耐腐食性が高い材料であるため、
比較的古くからFRPが使われていました。

本コラムの冒頭で示した画像もFRP製です。

よって、FRPというのはそもそも貯水槽を構成する材料である、
という認識が第一歩です。

 

 

FRPのオーバーレイというのは柔軟なFRPを損傷個所に積層して硬化させること

オーバーレイというのは柔軟な状態のFRPを、
損傷個所に積層、つまり重ねた上で硬化させることを言います。

FRPの繊維と樹脂の組み合わせは多くありますが、
貯水タンクに使う材料は一般的に

「ガラス繊維と不飽和ポリエステル」

の組み合わせです。

ご参考までに耐薬品性が強く求められる場合、
樹脂はビニルエステルとなります。

ガラス繊維はチョップドストランドマットや平織クロスが一般的です。
繊維ですので簡単に変形できます。

不飽和ポリエステルは熱硬化性樹脂です。
最初は低粘度の液体ですが、
硬化剤を添加した後に熱をかけると徐々に硬くなり、
最後は樹脂状態、つまり硬化物になります。

不飽和ポリエステルは室温でも進行するラジカル重合反応で硬化するため、
例えば貯水タンクをオーバーレイして補修後、
24時間程度放置すれば固まります。

最初は柔らかく、その後硬くなる。

化学反応によるこの状態変化が、
様々な形への適用性と固着という、
補修材としての性能発現につながります。

 

 

基礎となるブラケットの損傷は貯水タンク構造部材損傷リスクにつながる

水が漏れた場合、貯水槽自体の補修に取り掛かりたくなるかと思います。

しかし基礎が損傷している場合、補修した後に水を入れると、
その重量に耐え切れずに倒れる恐れがあります。

このような衝撃はFRP製貯水タンクにとって致命的です。

よって貯水タンクを支えるブラケットの損傷状況をまず確認し、
必要に応じて可能であれば交換、
できない場合はFRP等による応急補強を行うことが肝要です。

 

 

FRP製貯水タンクは一体型ではなく、パネルを組み合わせた構造のためパネル間から漏れやすい

FRPは繊維と樹脂を組み合わせた複合材料という話をしましたが、
複合材料の特性を完璧に生かすために重要なのは、

「繊維の連続性を維持しながら、
力のかかる方向にその繊維を配向させる」

ことです。

化学工場等に置かれているタンクは一般的な貯水槽と異なり、
円柱型のものが多いのは、
繊維の連続性を維持できるフィラメントワインディング(FW)という、
マンドレルに巻き付ける手法を採用しているためです。

この作り方であれば繊維の連続性は維持されています。

それに対し、貯水タンクはSMC(Sheet Molding Compound)という、
短繊維と樹脂を組み合わせて座布団のような形態にしたシートを、
金型で成形したパネルを組み合わせて作ります。

この作り方は量産に向いています。

最初に示した画像でもパネル間がボルトで締結されているのはその理由です。

パネル間にはパッキンが入っており、
水漏れを抑制しています。

しかし、パッキンは基本的に有機物であるため劣化するほか、
今回のように地震でパネルがずれるとそこから漏水します。

FRP製と一言で言っても一体型でないため繊維の連続性が失われ、
SMC製のパネルを組み合わせた構造故、
そのつなぎ目が水漏れの主因となるのです。

 

※SMCに関する参照コラム

根強いニーズのあるSMC/BMCと今後の課題

 

 

損傷した貯水タンクは内壁からのオーバーレイが望ましい

上記の理由から補修をするにあたり、
貯水タンク内側からオーバーレイするのが望ましいです。

ただ、諸事情により内側からの補修が難しいという場合、
外側全体を補修するという考え方もあります。

この辺りは貯水タンクの損傷個所や大きさなどの状況を見ながら、
補修を行う業者と相談いただくのが妥当でしょう。

 

 

 

FRP補修業者について

当社は法人向けに技術的な支援をする企業であるため、
実際の補修までを行うことができません。

しかしながら施工可能な関連企業として、
以下のような企業があります。

株式会社FRPカジ / https://frpkaji.co.jp/

この企業は以下の通りFRPによる補修にも対応しています。

※FRP補修に関する関連ページ

FRP製貯蔵タンクの劣化診断(株式会社FRPカジ)

 

尚、上記のページは化学工場における、
より大型のFRP製耐食タンクの補修に関する内容となっています。

 

 

 

まとめ

地震等によって損傷を受けた貯水タンクの補修には、
内側からのFRPによるオーバーレイが有効であることをご紹介しました。

本来であれば貯水タンク自体を新品に交換できればいいのですが、
貯水タンクが水をためられない状況改善は一刻を争うはずです。

このような状況では新品への更新にこだわらず、
補修という形で貯水タンクとしての機能を回復させる柔軟な考えが重要となります。

 

何かしらのご参考になれば幸いです。

 

 

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