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FRP製電柱の拡大と既設電柱のFRPによる補修・補強の重要性

2023-09-18

耐水性と耐腐食性を有するFRPは電柱の構造材や補修、補強材に適用され始めている

FRPでよく触れられる特性は高い強度と剛性。

特に重量比率の特性値である比強度、比剛性という切り口で評価すると、
その数値は卓越したものになります。

しかし、FRPは異方性が極めて高いため設計に関して高い知見と、
深い経験の2つが必要になるという高い障害ゆえ、
1次構造部材という観点ではなかなか浸透していないというのが実情です。

その一方で、近年FRPの特性として再注目されているのが耐水性、耐腐食性です。

今回はこの切り口から電柱にFRPを使用している企業の例と、
既設電柱へのFRP適用の重要性について考えてみたいと思います。

 

 

FRP製の電柱は海外では一般的になりつつある

日本の電柱はその多くがコンクリート製です。

しかし、海外では木製のものもあるため耐久性に難があると考えられます。

ここでいう耐久性ということは、雨風に耐え、長期間使っても腐りにくいということ。

その動機からFRPを使うという事例が増えつつあります。

 

以下の CREATIVE COMPOSITES GROUP という企業は一例です。

StormStrong(R) Utility Poles

FRP製電柱の設置の様子が動画で紹介されています。

この企業は橋脚、デッキ、タンク、パイプ、その他形状物の補修も行うとのことです。

※参照情報

FIELD SERVICES

 

FRPのもう一つの特性である形状追従性、つまり様々な形状に成形できることを強みとして活かされています。

インフラから製紙工場等、様々な産業界でFRPを用いた補修や補強が行われていることがわかります。

 

FRP電柱製造に適用した工程は引抜成形

今回ご紹介する電柱は引抜成形によって得られているようです。

引抜成形はFRPの長尺形状物を得るには定石の工程です。

引抜成形は型の片側から連続繊維(ロービングやストランド)を引き込み、
型の中を通過する際にその型内でマトリックス樹脂を含浸させ、
繊維が入ってきたときよりも狭い出口でしごかれながら樹脂を繊維に含浸させ、
連続的に同一断面のFRP形状物を得るというものです。

電柱に用いられているのは熱可塑ではなく熱硬化性樹脂だと思います。

この辺りは過去のコラムでも取り上げたことがあります。
詳細はそちらをご覧ください。

※参照コラム

はじめてのFRP 引抜成形 と最新動向

 

電柱の構造部材としての評価規格 ASTM D1036

電柱の構造部材として成立するかについては試験規格が存在します。

その一つがASTM D1036です。

元々は木製の電柱向けの評価ですが、FRPのように適用されてから歴史の浅い材料を用いた電柱に対しても適用されることがあります。

今後見られなくなるかもしれませんが、以下のサイトで内容を見ることもできます。

Standard Test Methods of Static Tests of Wood Poles

 

概要としては片持ちの状態の電柱を曲げるという試験です。

この辺りは過去のコラムで述べたことがあるので、
詳細についてはそちらをご覧いただければと思います。

※参照コラム

Power pole / 電柱 へのFRP適用と ASTM D1036 による評価

 

 

電柱は地中化が重要だが既設電柱を補強することも重要

ここから少し電柱に対して考えるべきことについて述べたいと思います。

過去のコラムでも述べたことがありますが、
電線は地中化するべきというのが私の考えです。

景観、スペースを取るといった問題以前に、
地震などの災害において倒れた電柱が消火や救助活動の支障となるためです。

徐々に電柱の地中化が進んできたとはいえ、
そのような対応をできる予算を有する自治体は限られています。

よってまずは今ある電柱を強く、長持ちさせるという考え方が必要になります。

より具体的には古い構造物を補修・補強ということです。

この対応に用いる材料としてFRPが一候補になるのです。

 

FRPは電柱の補修・補強に活用できる

昨今の労働人口の減少によって、劣化が進む電柱の交換作業は難しくなりつつあります。

地面を掘り直して電柱を入れ替えるというのは、
大変効率が悪く、人手も必要です。

ここで考え方を変え、FRPで既設の電柱を補強、補修することで構造物としての寿命を延長させるという選択肢を持つべきだと考えます。

例えば電柱を点検し、ひび割れや劣化が認められるところにライニングを行うイメージで、
樹脂を含浸したFRPシートを巻き付けるのが一例です。

内部に空洞があるのであれば内部から補修するというやり方もあります。

例えば以下の動画では鋼管柱ですが、内部にFRPをライニングするやり方で補修する事例が紹介されています。

【FRPシップ工法】鋼管柱(照明灯ポール等)補修工法

ここではアラミド繊維と熱硬化性樹脂を組み合わせたFRPを内壁に貼り付け、
その内側にモルタルを注入するというやり方で内部の補強を行っています。

 

上記のようなFRPを用いた内壁側からの補修、補強対応というのは既に始まっているという情報も得ていますので、
様々なところで試験的なものも含め、取り組みは日本でも始まっていると考えています。

 

 

FRPをどのようなところで活用するのか。

このような考えを議論する際、多くは素材の話、または成形加工の話に収束することが多く、
結局のところ全体を俯瞰したコンセプトから議論が進むことが少ないと感じます。

従来手法の踏襲やコストだけを重視したやり方では、
昨今の急激な社会構成の変化に耐えられないことを踏まえると、
FRPを用いた補修、補強によるインフラ構造部材の長寿命化というのが、
今以上に重要になっていくと考えられます。

今一度、FRPの耐水性、耐腐食性の強みという視点から考え直すことで、
FRPの適用範囲が広がるかもしれません。

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