FRP業界での活躍を目指す企業のコンサルティングパートナー

Vestas が2040年までに廃棄物ゼロの風力発電ブレードをリリースすることを発表 Vol.139

2020-01-27

 vestas wind turbine zero emission approach

AX1YFP Rolling green countryside, springtime in Tuscany, Italy, Europe

( The image above was referred from https://renews.biz/54356/vestas-reclaims-turbine-ranking-pole-position/)

FRPの産業用途において、
風力発電ブレード( Wind turbine )は比較的昔から適用されてきたものの一つです。

今は

・ Goldwind :  http://www.goldwindglobal.com/
・ SIEMENS Gamesa :  https://www.siemensgamesa.com/en-int
・ GE Renewable Energy :  https://www.ge.com/renewableenergy/wind-energy/onshore-wind

といったアジア、欧州、北米の企業がけん引している業界ですが、
これらの企業に加えもう一社、この業界で存在感を示しているのが

Vestas : https://www.vestas.com/

です。

 

風力発電業界概況とFRPの適用

稼働している風力発電機による発電量は、
2016年時点で 500 GW 程度であり、
2017年当時の見込みで 2020年には 800 GW 程度まで急増すると予想されています。
(出展元: Overview of the global composites market, edition 2017

再生可能エネルギーが求められる昨今において、
風力発電は引き続きニーズが高まると考えられています。

そして風力発電機のブレードは、
長尺で剛性と強度が求められるため、
冒頭で述べた通り比較的古くからFRPが使われてきています。

大型のFRP成形物の積層工程の簡略化と積層配向や品質安定化を目的に、
NCF、つまり Non Crimp Fabric が開発されたというのはこの材料を触ったことのある方であればご存知だと思います。

 

NCFについては過去に以下のようなコラムでご紹介したこともあります。

※ FRP学術業界動向 – NCF を用いた 風力発電 ブレード製作自動化検討

※ FORMAX が Advanced Engineering UK で NCF 基材を発表

 

Vestas のゼロエミッションへの挑戦を表明

この Vestas が

2040年までに廃棄物ゼロの風力発電ブレード( Wind turbine )をリリースする

ということを発表しました。

本リリース内容は以下で見ることができます。

https://mb.cision.com/Public/18886/3011652/8cd37201d078bccf.pdf

年間、全世界で110億ton以上の固形廃棄物が排出され、
これが温室効果ガス排出量の5%の原因に該当しているとのことです。

そしてこのようなが土壌汚染に加え、
水質汚染の原因となっています。

固形廃棄物はリサイクルや適正処理といったトータルの管理が求められており、
そのような動きに UNEP International Environmental Technology Centre ( IETC ) 、
日本語で言うと UNEP国際環境技術センター という日本の国連組織が、
その大きな役割を果たしていると述べられています。

出展元:
・Solid waste management ( UN enviroment programme )
https://www.unenvironment.org/explore-topics/resource-efficiency/what-we-do/cities/solid-waste-management

・UNEP国際環境技術センター
https://www.unenvironment.org/ietc/ja

 

そして上記の Vestas のリリースによると、
風力発電ブレードだけを見ても2050年までに累積で4300万tonの固形廃棄物が発生するとのことです。

さらに風力発電事業においては毎年3%の市場成長が見込まれており、
固形廃棄物に対する取り組みは待ったなしである、
というのが Vestas の主張となっています。

具体的な取り組みの要点は以下の通りです。

・リサイクル性を高めるターゲット部品はブレードとナセル

・第一段階として、ブレードに注力し、リサイクル率を現状の44%から50%へ2025年までに実現し、
2030年までに55%まで高める

・既存のブレードについても、リサイクル可能なものに順次交換していく

・リサイクル技術はガラス繊維のリサイクルやプラスチック(樹脂)部品の再利用等を網羅する

・廃棄処理技術そのものの見直しも進め、埋め立てられる廃棄物の削減に向けた顧客へのサポートを推進

技術の詳細は述べられていませんが、
非常にわかりやすい計画ですね。

 

FRP業界でも求められる材料のリサイクルや適正処理

FRP業界においての環境関係技術で最重要といわれているのは、

「 GFRP / ガラス繊維強化プラスチック のリサイクルや適正処理手法の確立である」

と考えています。

これは、今回紹介したような風力発電ブレードのような大型のFRP成形体に加え、
貯水槽、公園の遊具、化学プラントのFRP槽といった、
比較的古くからFRPが用いられてきた製品が適用から30年を超え、
順次寿命を迎えてきているという事実が、
上記のニーズの高まりの背景にあります。

この辺りは以下のコラムで過去にも述べたことがあります。

※ GFRPに近い将来求められる リサイクル

問題が顕在化する前に、環境に対する取り組みを公言し、
積極的にその動きを加速させるという姿勢はやはり欧州が盛んである印象です。

Executive Vice President of Vestas Power Solutions の方は、

「製品のリサイクル率を高め、廃棄物をゼロにするというチャレンジングな目標設定は、
次世代により良い世界を保証するために最重要である」

「Establishing such an ambitious goal for waste reduction is paramount to
ensuring a better world for future generations」

と述べています。

このような考えは欧州に限らず、
世界中で必要な考え方です。

一見、事業に対して直接的なメリットが見えにくいという意見もあるようですが、
どちらかというと

「社会的責任の一つ」

という認識が高まっているという方が正解でしょう。

以下のような記事はその流れの側面を示しているといえます。

※ SDGs と企業経営
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47249960R10C19A7EN2000/

今後の事業運営において、
環境を意識した戦略というのが今以上に重要になってくると考えます。

今回の Vestas のような明確な目標を示すということが、
FRP業界における全社にも求められているという理解が必要かもしれません。

 

Copyright(c) 2020 FRP consultant corporation All Rights Reserved.
-->