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ランニングシューズ へのFRP適用

2020-01-14

今日のコラムでは ランニングシューズ へのFRP適用ということについて述べてみたいと思います。

 

箱根駅伝でも存在感を発揮した FRP を使用したシューズ

年始恒例の箱根駅伝。今大会では多くの区間新記録が生まれ、往路、復路ともに新記録が多く出ました。

当然ながら選手の日々の努力によるものですが、もう一つこの記録に大きな影響を与えたものに厚底の「 ランニングシューズ 」があったというのはメディアでも盛んに言われていたことです。

その主役ともいうべき靴が「 NIKE ZOOMX VAPORFLY NEXT% 」です。

NIKE でも専用ページがあります。

技術の詳細は述べられていませんが、 NIKE のページでも見られるように靴底全体を連続繊維のCFRPがサンドイッチされているようです。

 NIKE ZOOMX VAPORFLY NEXT% CFRP structure

?( The image above is referred from here

 

CFRPの強化繊維である炭素繊維の高弾性率という特性を生かした反発力を、走る際の推進力に転換するというコンセプトのようです。ビックデータを上手く使いながらFRPの特性を引き出すための設計を行ったというあたりが、これまで色々な新製品を世に送り出してきた NIKE らしいアプローチです。

 

そして、このような流れとはまた別の動きがお隣中国で見られています。

 

 

FRP を用いた ランニングシューズ を多くの人に

上述した NIKE とは異なる製品を発表したのが中国の Bmai? という企業です。

この企業はFRPを使ったシューズをできるだけ多くの人に届けられるよう、使用する範囲を絞るという戦略を立てています。以下が実際の靴の画像です。

 Mile 42K composite structure image

( The image above is referred form? https://www.compositesworld.com/blog/post/tuning-the-running-shoe)

製品名称は Mile 42K とのこと。

このシューズでも用いられているのは炭素繊維強化のCFRPです。ただその適用されている領域は土踏まずの部分のみ。

ここを強化することで、靴のねじり剛性を高め、走る際の足の負担を低減するというのがコンセプトのことです。

 

繊維配向などは公開されていませんが、熱可塑性マトリックス樹脂である PC ( ポリカーボネート )をもちいた連続繊維の CFRTP を用いています。

CompositesWorldの記事によると45°積層にしているのではないか、と述べられていますが私も概ねは同意見です。もちろん、形状や実際の使われ方によって積層方向を調整しなくてはいけないのは言うまでもありません。

厚みは1?1.2mm程度の薄型。

想定価格は56ドルとのことで、上述した NIKE ZOOMX VAPORFLY NEXT% の 1/5 程度の価格となっています。

 

使用材料は Covestro の Maezio™

使用している材料について少し見ていきます。

基本は PC をマトリックスとした UD 材料であり、積層板、ランダム配向材等、様々なチューニングに対応していて、詳細は顧客と一緒に作り上げていくということを前面に出しています。

以下に概要紹介の動画があります。靴だけでなくスマホの筐体にも使われているようです。

 

本製品に関するページを見てみます。

https://www.lp.covestro.com/maezio

 

ページ中ほどに材料仕様の比較がかかれていますが、比重は1.5とのこと。

マトリックス樹脂の調整により、ドレープ性や樹脂含侵性に優れていると書かれています。

厚みは 120μ 程度とのことで一般的なUD材というイメージです。

またガラス繊維の材料もあり、基材設計によってそれ由来の模様も出せるとのことです。

 

 

では、今回の記事から考えるべきことは何でしょうか。

 

 

FRPのアプリケーションは身近なところに浸透しつつある

今回の靴底にFRPを使うというのは決して真新しいアプローチではありませんが、FRP設計という知見が世界的に向上してきたこともあり、製品にFRPを用いたことによって得られた成果(ここでいうとタイム)がでていることからFRPの「機能性」が認められた例といえるでしょう。

 

このように軽量化や高強度以外の+αとなる「機能性」を見いだせる例が出始めたことで、FRPは今まで以上に身近なところに浸透してくると想像できます。

 

言い換えると、FRPの適用を拡大するためにはどうしても「機能性を見出す」というコンセプトが不可欠といえます。

 

そのやり方として、今回NIKEが行ったような多くのランナーのデータを集計して、最適な形状、材料特性を見出すというのは時代にもあった一つの答えなのかもしれません。

 

 

ユーザーを見つけたいならば材料の物理特性データ開示は必須

これは材料メーカーが元は樹脂メーカーということもあって致し方ない部分もあるのですが、材料に関するデータが少なすぎます。

定量的なデータとして公開されているのは密度と厚みくらいです。

 

やはりユーザーとして欲しいのは、その材料の機械特性と物理特性。

 

特に上述した「機能性」の検証には物理特性が必須。

 

弾性率、導電性、誘電率、比熱、線膨張係数、破壊靭性値、耐薬品性、耐水性、目付、振動減衰特性等が物理特性の一例です。

 

材料メーカーが何に着目しているのか、ではなく

 

「ユーザーはどのようなデータを欲しているのか」

 

という目線こそが必要になってきます。

 

材料を販売する企業は視点を変えるということが今まで以上に重要になってくると思います。

 

 

 

ご参考になれば幸いです。

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