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KTM がFMC/NCF/elastomerでSkid plateを開発 Vol.117

2019-03-25

KTMがFMC/NCF/elastomerでSkid plateを開発

( The image above was referred from http://www.jeccomposites.com/knowledge/international-composites-news/fmc-ktm-carbon-skid-plate )

今日のコラムでは

「? KTM がFMC/NCF/elastomerでSkid plateを開発 」

ということについて述べてみたいと思います。

今年の JEC Innovation Award を受賞したもののうち、
KTMの Skid plate をご紹介したいと思います。

 

二輪自動車部品のFRP化への取り組み

オーストリアの輸送機器メーカーであるKTMは、
スポーツバイクを中心にその存在感を発揮している企業です。

一度倒産しているようですが、
スポーツバイクに事業を集約して事業を維持発展させてきた、
という経緯もあるようです。

さて、このKTMが今回Innovation awardが受賞したのは、
Skid plate のFRP化です。

概要は以下の所に書かれています。

http://www.jeccomposites.com/knowledge/international-composites-news/fmc-ktm-carbon-skid-plate

エンジンの下側を保護するようなハウジングのような部品ですね。

今回受賞したようなオフロードバイクでは、
走行中の石が飛んでくることはもちろん、
岩の上を乗り越えるといった時にエンジンがその岩に接触する恐れもあるため、
そのようなものから守る意味があると考えます。

 

Skid plate に適用された複数種の材料

今回使われたのは熱硬化性CFRPでFMC/NCF/elastomerの組み合わせ。

FMCというのは forged molding compound とのことで、
熱をかけて賦形、硬化させる厚手のシートのイメージです。

Forgeというのはもともと金属では板金という意味で使われますね。

面内の異方性を低減させることで、
大変形に対する荷重分散効率を高めようとしていると考えます。

NCFは Non crimp fabric という、連続繊維をステッチで一体化させる、織らない繊維基材です。
ステッチによる一体化により、
連続繊維にも関わらず繊維配向維持に優れ、
そのドレープ特性からブリッジしにくいという性質を有しています。

NCFについては過去にいくつか関連した記事を書いていますので、
そちらもご覧ください。

※ FORMAX が Advanced Engineering UK で NCF 基材を発表

※ FRP学術業界動向 ? NCF を用いた 風力発電 ブレード製作自動化検討

※ LOIRETECH による CFRP製水中 プロペラ

 

elastomer というのは室温でゴム弾性を有する材料です。

つまり、FMCで基本形状構築を実現したうえで、
NCFによる強度・耐衝撃性改善と、
elastomerによる衝撃吸収と形状追従性を達成させる、
というのが製品コンセプトです。

さらに最近高速硬化機能の発展目覚ましい最近の流れに乗る形で、
4分で成形が完了すると書かれています。

最近ここは常識になりつつありますが、シミュレーションの活用も積極的に進めたようです。

一昔前までは、まずは実車に搭載して走らせて、
その後、目視で壊れた壊れないというものを確認する、
というのが王道でしたが、
最近は走らせるのが主目的ではなく、
走らせるときに取得できるデータが主役です。

変位に加え、荷重や加速度といったデータをシミュレーションに落とし込み、
形状や拘束条件の最適化を行ったものと考えます。

当然、必要に応じた材料見直しも行ったでしょう。

これらを経て今回リリースした形態に行きついたものと考えます。

精度や盲目的信頼へのリスクがあるものの、
シミュレーションは避けて通れないツールとなりつつあります。

設計担当者は図面を書ければいい、材料担当者は材料だけわかればいい、
という時代ではなくなったとつくづく感じます。

さらに加えて市場ニーズも確認したと書かれています。
市場ニーズをとらえようという戦略は極めて重要ですね。

この辺りは欧州のエンジニアは得意というか好きだという印象ですが、
ビジネスに興味のある方が多い気がします。

これは理系・文系という線引きをしない教育体系の影響かもしれません。

私もドイツで1年間インターンをしていましたが、
所々でその文化を感じていました。

 

だからといって日本も欧州流にすべきというのはあまりにも稚拙な考えです。

技術で最も大切なのは要素技術。

その本質は徹底した技術の探求と技術の基礎の理解にあり、
場合によってはサイエンスの世界にも入り込むレベルです。

エンジニアはあくまで、要素技術を最重要視すべきであり、
それが無いと技術は必ずジリ貧になることを理解し、
その上で民間企業はビジネスとの両立を図る、
というエンジニア流のビジネスの考え方を「構築する」という概念が必要と考えます。

参考にすることがあっても追従すればいい時代ではないのです。

 

マテリアルライフサイクルへの言及は不可避になりつつある

さて、もう一つこのテーマで興味深いのは、

「マテリアルライフサイクル」

について言及しているということです。

使い終わった後、どのような用途に使えるか、
ということが言及されています。

上記のKTMの例だと熱可塑性マトリックス向けの不織布や短繊維に流用できる、
というのが主張のようです。

あっている、間違っているという議論は別として、
まずは提案してみようというその姿勢がいいですね。

FRPをFMCやNCFといった基材やその構成材料の特性を理解した上で組み合わせる、
というアプローチをご紹介しました。

製造プロセスに目が行きがちな昨今ですが、
やはり重要なのはFRPという材料をどのように適材適所で使いこなすか、
という設計思想です。

 

今回のKTMの例は材料と最終アプリケーションをつなぎ合わせて考える、
という良い事例なのかもしれません。

 

 

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