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水道管 の更新へのFRP適用

2016-01-06

普段蛇口をひねると出てくる水(上水)。

そして、トイレ、お風呂、台所といった生活排水という下水。

どちらもごくごく当たり前の日々の一幕ですが、これらの水のやり取りを支えているのは 水道管 です。

 


昨年末の毎日新聞に「水道管 老朽化が進行 1割以上が「期限切れ」」という見出しの記事が出ました。

http://mainichi.jp/articles/20151231/k00/00m/040/126000c

 

その後、朝日新聞でも「水道管老朽 漏れ頻発 「水の2割超むだ」全事業体の16%」という記事が出ています。

http://www.asahi.com/articles/ASHDV7R0KHDVTIPE01F.html

 

もう少し調べてみると、1年以上前にNHKがクローズアップ現代で類似の議題を取り上げていたようです。

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3566_all.html


詳細は上記の記事をご覧いただければと思いますが、要点は以下の通りです。

 

  • 一般的な水道管の寿命は40年のため、水道の普及率が9割を超えた1970代施工の水道管が更新時期を迎えている
  • 節水器機の普及や人口減少により水道料金収入が減少
  • 予算不足のため水道管の更新ができていない
  • 各地で水道管の破裂といった問題が頻発している
  • 腐食した水道管の断面図一例を以下に示します。


上水道管がこのような状態で水を飲むのは気持ち的にも難しいのではないでしょうか。

無題
( The image above is referred from http://www.jousui.jp/blog/2015/04/post-142.html

私の自宅の近くでも水道管の更新が一斉に始まりました。

舗装が局所的に行われるため舗装が凸凹になったため不満を感じていましたが、そもそも水道管を更新できる自治体は恵まれているのだということに気がつきました。

 


さて、このような水道管の更新方法として、従来から行われてきている「水道管そのものの交換」というやり方に加え、既設の水道管を活用した「 管更生 ( かんこうせい )」(または、パイプライニング)という手法があります。


この管更生には色々なやり方があるようです。


集合住宅向けに比較的多く行われてきたのが内壁にこびりついたさびや析出物を削り取るという方法です。

 

大阪ガスリノテック株式会社などが本施工を行っている企業の一例です。

http://www.renotech.jp/pipe.html

上記のHPは非常に素晴らしいもので、この工法にも「限界がある」ときちんと述べられています。


つまり、内壁を削り取るので菅の壁厚が多少なり薄くなる、そして腐食が外壁近くまで進行してしまっていると更生できないと書かれています。

腐食が進行する前の段階で、定期的に検査することが重要なようです。


技術についてはこのように限界を述べておくということは極めて重要です。
そういう意味ではリノテック株式会社のHPは非常に好感度が持てました。

 


そして管更生のやり方としてFRP(ほとんどがガラス繊維)が多用されているということは意外にも知られていません。

非常に多くの工法がありますが、概論は以下の通りです。

 

  • 既設の水道管の表面を洗浄後、プライマー等で前処理を行う
  • GFRPの菅を水道管に通す(水は流れたままで問題ない)
  • 新たに通したFRP管に温水を通し、熱で硬化させる(一部、光硬化のタイプもあり)

 

つまり我が家の近所で行われているような「道路を掘り起こす」といった作業は必要ないのです。

今あるものを活用するというのが本工法のポイントです。

加えてFRPというのは非常に耐久性が高いため、従来金属の40年という寿命をはるかに超える無限寿命設計も可能なようです。
(最近は金属でも長寿命タイプのものがでており、100年は持つものもあるようです)


少なくとも今ある水道管をそのまま活用できることによるメリットは多いのではないでしょうか。


掘り起こして、また埋めるといった作業は基本的には必要ありません。


人件費的にも、そして何より工事期間の短縮に大きな効果があります。

代表的なものを見ていきたいと思います。


まずは岡三リビック株式会社のARISライナー工法です。

http://www.okasanlivic.co.jp/material/aris_liner.html


特徴として以下の4点がかかれています。

  • グラスファイバーを複合した高強度タイプとのライナーと、新技術の樹脂フランジにより、内圧管に対する備えも万全。
  • 使用水量は満水硬化工法の10~50%減。大口径管路に好適。
  • 均一な加熱硬化でムラなくCIPPを形成。
  • 勾配の大きい管路でも施工可能。

(引用元:http://www.okasanlivic.co.jp/material/aris_liner.html


この企業は、ロボットによる管内調査や、けい酸塩系含浸材を用いたコンクリート媒体の表面コーティングも行えるようです。

http://www.okasanlivic.co.jp/material/robot.html

http://www.okasanlivic.co.jp/material/rcg.html

 

株式会社横島エンジニアリングは、パイプ イン ホーバス工法というものを行っており、不飽和ポリエステルとGFのGFRPを主軸にしながら、耐水性を加味した複層構造とすることで耐久性を大幅に高めています。

http://yokoeng.co.jp/material/pipe_in_hobas.html#kikaku


特徴としては、以下の点がかかれています。

  • 遠心製造による「ガラス強化プラスチック複合管」
  • 軽量化(高い施工性)
  • 軟弱地盤等の土質条件に対応
  • 高い流下性能(n=0.01以下)
  • 50年以上の製品寿命

 

ライナーに用いるGFRPのマトリックス樹脂が、熱硬化性の樹脂ではなく光硬化(紫外線)の樹脂を用いるケースもあります。

それがホーメックス株式会社のFRP光硬化内面補修工法というものです。

http://homex-co.com/industry/gesui/frp.html

当然ながら熱を必要としない(光硬化も熱で硬化することはここで追記しておきます。あくまで熱以外でも硬化するという意味合です。)というのが一つの特徴といえます。

マトリックスは何か書かれていませんが、エポキシの場合の光硬化はカチオン重合で進行するため、アクリルのような高速の光硬化はできないことは注意すべき点です。
(光硬化とういと「硬化が早い」と誤解される方が多いため)


上記の工法は以下のHPでより詳しく書かれています。

http://www.frp-method.jp/torituke.html


それ以外ではターヤンという企業が、下水マンホールの更生をポリエステルフェルトで行うといったものもあります。

http://www.turyoun-ma.com/construction.html


マトリックス樹脂は不飽和ポリエステルのようです。
マンホールの内壁にエポキシプライマーによる前処理をした後、
マトリックス樹脂が含浸されたポリエステルフェルトを貼り付け、
その上から圧力バックで加圧、温水循環による加熱を行い硬化させるとのことです。

 


FRPをインフラの保守に活用する例として管更生をご紹介しました。

 

今年はリオデジャネイロオリンピック。

つまり、東京オリンピックまであと4年となりました。

1964年の時のような戦後復興の象徴として新しいものを建てるという、
従来型の考え方ではなく、
既存のものを技術を用いて長く使うという循環型社会の実現という切り口で、
日本の底力というものを見せてほしいというのが私の個人的な願いの一つです。


この取り組みにFRPを活用し、日本が新たな技術領域の先導者となることを強く望みます。

 

私自身もこのような取り組みに貢献できるよう、顧問先企業を含め、多くの企業の連携を模索していきたいと思います。
 


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