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SGL グループの長期利益戦略発表

2015-07-22

BMW の i series 向けCFRP材料提供で知名度の上がった SGL 。


その SGL から長期利益戦略なるものが発表されました。


http://www.sglgroup.com/cms/international/press-lounge/news/2015/07/07072015_p.html?__locale=en

 

炭素繊維メーカーとして注目されている SGL グループですが、
炭素製の電極なども製品として持っています。


これら事業全体の見通しを含めたプレスリリースは以下の通りです。

 

現在SGLの抱える事業を以下の3つの事業に分けて独立性を高めていくとのことです。

a. Graphite Materials & Systems (GMS)

b. Carbon Fibers & Materials (CFM)

c. Performance Products (PP)


最大の目的はコストダウンのようで、 ROCE つまり資本利益率を中期観点で最低15%改善させると書かれています。

独立を高める一方で各事業の業務プロセス、
フローの共通化がコストダウンの根拠とのこと。


GMSとCFMの月の売上見込みは7億3千7百万ユーロ、今の為替ルートで995億円に達しており、コストダウンによって利益率の改善と2020年までに50%の売り上げ増加するという予想に基づき、経営基盤より強固になると見込んでいるようです。


また、独立させることにより各事業が柔軟に変動する市場ニーズに対応するフットワークの軽さも目指すと書かれています。

 

加えてPP事業については、既に標準化され長期的に売り上げが見込まれるものをターゲットにしていくようです。

 

現在ターゲットにしているのは炭素電極、加熱炉のライナーなどで2014年度で日本円で793億円の売り上げがあるとのこと。

 

 


今回のプレスリリースはビジネスという観点で時代の流れを感じます。

 

一番は各事業の独立採算。


今回の SGL の発表からはどこまで各事業を独立させるのかは不明確ですが、完全に社内カンパニー制度にしていたとすると利益と費用だけを考える損益計算書ベースではなく、資産、負債、純資産の状態を示す貸借対照表ベースでの経営が行われることになるようです。

こうすることで他の事業部門との比較ができるようになり、
独自裁量により各事業部のカラーも出せるようになるのでしょう。
権限委譲により経営スピードは速くなると考えられます。


ただ一方でこのような独立採算は技術の現場にはデメリットをもたらすことがあります。


一番のデメリット。


それは、

事業部の利益だけが重要視され続けて、投資という概念が出てこない

というところです。

 

組織を維持するためには当然利益を出し続けなくてはいけませんが、
それだけでは新しい事業は育ちません。


そこで必要なのは新しい事業に対する「投資」という概念。


人、お金、そして時間の3要素を新しい事業に投資しなくてはどこかで会社全体が尻すぼみになります。

 

ところが独立採算性により他事業との「利益比較」が最重要視され、
数値的にわかりやすい「コストダウン」ばかりやっていては事業の発展は見込めません。

 

ここで本来は投資の決断をしたいところですが、
事業をゼロから起こした人、もしくは事業を大きくした経験のある人でなければ、
「投資」という英断をすることはできません。

 

こうして結局事業全体が保守的になり、利益も長い目で見れば目減りする。

そして優秀な社員から去っていくという悪循環に陥るのです。

 

SGLがどのような意図で上記の発表したのかはわかりませんが、
このニュースを鵜呑みにするのではなく、
事業発展に対する投資をやれる、という土壌の醸成こそが重要かと思います。

 

特にFRP業界のように足の長い業界への参入の場合、
上記のような考えが必須です。

 

FRP業界では短期的な利益を追い求めるだけではなく、
長い目で利益を生み出し続ける事業を確立するための基礎力をつける猶予を設ける、
という考えも重要なのではないでしょうか。

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