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熱可塑性FRP( FRTP )について SGL group の適用拡大戦略

2015-05-06

BMW i series への素材提供でも注目を浴びるドイツ企業の SGL group が次の戦略として、
 熱可塑性FRP ( Fiber reinforced thermoplastics : FRTP )をターゲットの一つとして見据えているようです。

 

FRP の適用が世界各国で進められる昨今、航空宇宙業界を中心に先行して適用が進んでいる熱硬化性FRPに加え、


– タクトタイムが短い(成形時間が短い)

– 素材をリサイクルしやすい

– 熱硬化性FRPよりも高い耐衝撃性・破壊靭性

– 接合部の後溶着が容易

– 室温環境での保管が可能で管理しやすい


といったメリットゆえ FRTP が注目を集めつつあります。

 

ただし、上述したメリットとは裏腹に問題点も多く、


– 熱可塑性マトリックス樹脂の溶融粘度の高さから外観欠陥や内部欠陥が生じやすい

– マトリックス樹脂のガラス転移温度、結晶融点を上回る温度での加熱が必要
(常用で50?60℃で使われるポリアミドでも、結晶融点を上回る250℃以上での加熱が必要)

– 脱型するときには十分な硬さになる低温まで冷却が必要なケースがある
(予備加熱で十分に熱し、より低温の型でプレスするという工程が一般的ですが、
高温でのプレスが必要な高耐熱 FRTP を中心に脱型前に型の冷却が必要なケースが多いです。)

– 強化繊維との接着強度が低い場合が多い故、 FRTP の物性が発現しにくい

– 素材のタック性が無いため積層が困難
(部分溶着をさせながら積層する必要があります)


といったものが挙げられます。

 


そんな中、 SGL group は


「営業・技術の綿密な協力により、顧客ニーズに合わせた材料と製造工程を提供する」


というコンセプトをベースに FRTP の拡大を目指す事業を本格化させると発表しました。


http://www.sglnewsroom.com/en/reports/report-detail-page.14720.php

 

上記のプレスリリースの中で何度も「 Holistic (総合的な)」という単語が使われています。

 

SGL group の最近の大きな仕事の一つである BMW i series の工程を見てもわかりますが、
炭素繊維、マトリックス樹脂、工程がほぼすべて BMW i series 向けのカスタマイズされたものであることは知られています。

 

これは私の実体験からも言えることで、トップページ(https://www.frp-consultant.com)でも述べていますが、


「FRPは設計、材料、製造といった各工程とのつながりが極めて強い材料である」 


という紛れもない事実です。

これがアッセンブリーメーカーに居ながらマトリックス樹脂の研究をしていた動機でもあります。

 


SGL group はこの事実に企業として早い段階で認識して取り組んできたこともあり、
FRTP 事業を本格化させようというタイミングで、

「The buisiness unit and research combined」

という営業と技術を一体化するという考えに至ったのだと考えます。

 

このことを裏付けるように、上記事業のトップである Andreas Erber が上述のプレスリリースで以下のように述べています。


「繊維、FRP、成形、中間基材、最終製品にわたる広範囲な理解こそが、利益を生みやすい画期的な技術の創出につながっている」

 

 


FRP素材製造では世界を圧巻している日本ですが、FRP製品の適用では下請けに甘んじているのが現状です。

この苦境を打開するため、日本政府も予算をつけて「革新的ものづくり産業創出連携促進事業」、
「革新的構造材等技術開発」といった事業を進めていますが、どれも、


– 素材は素材メーカー

– FRP製品の拡大には製造工程が最重要


という考えから脱し切れていないような印象です。
(※ この辺りは以前メールマガジンでも少し述べました)
 


問題は、素材メーカー、成形メーカー、アッセンブリーメーカーといったそれぞれのメーカー間での情報共有が不十分であること、
そして安全性含めた品質管理に関する考えが後回しになっているという点ではないかと考えます。

 

まだまだ欧米に後れを取っているのが現状ですが、
クライアントの方々と話をしていると、


「素材、成形、設計、品質管理といった一気通貫の知見は重要である」


というのが個々人の考え方としては浸透してきたと感じています。

 

 

FRTP に限らずFRP全体について言えるのは上記のような考え方浸透が一つのキーワードになるのではないかと考えます。

 

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