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サスペンションが一体の車輪 FRP製 Loopwheel

2015-04-13

FRPの新たな機能性の一つである振動減衰を生かそうというコンセプトの Loopwheel 。


設計コンセプト含めて非常に興味深いこの技術をご紹介します。


Loopwheel に関するURLを以下に示します。

http://www.loopwheels.com/about-loopwheels/

 

会社名は Loopwheel で Sam Pearce という方がイギリスにおいて、
2007年に車輪の中にサスペンション機能を入れ込んだコンセプトを考えたところから始まったとのこと。

 

シンプルで実用的、そしてわくわくするものを

 


そんなことを考えながらコンセプト設計をしたと書かれています。

 

 

この Loopwheel の3つの大きな特徴は、


1.車輪の径に対する設計自由度が極めて高い

→ 自転車から車いすまで適用が可能


2.ロードノイズの大幅な低減に貢献

→ 自転車のロードノイズはバイクのフレームを経由して人伝わる。
そのため、車輪で振動を吸収してしまえばロードノイズはほとんど伝わらず、スムースな運転が可能。


3.とにかく楽しい

→これまでの車輪で動く乗り物の考えを覆したものであるため、初めての運転感覚を得られる。


と書かれています。

 

 

上記3点の素晴らしさとは別の観点で Loopwheel の素晴らしいところは、

 

「FRPは軽量化に貢献する+ α の "α" の部分を真剣に考えている」

 

「CAEによるシミュレーションに頼りすぎず、シンプルに設計している」

 

という2点であるというのが個人的な意見です。

 

 

FRPは軽い


という特徴だけを見て、


従来の金属材料と比較すると材料費も高い上、工程が複雑で品質保証も難しい


という考え方や、


FRPの設計、製造にはCAEをベースとしたシミュレーションが不可欠なので、
急ぎPC、ソフト、そしてそのソフトを扱える人を用意しなくてはいけない


という考え方が多いのがFRP業界での実情です。

 

 

ところが見方を変えれば、


FRPの素材費や製造費の高さ、品質保証の難しさを乗り越えるための付加価値は何か


という考え方や、


CAEに頼りすぎると、実際の現物で起きている事象が見えにくくなるので、シンプルに現象を考察できないか


という考え方ができるのではないでしょうか。

 


Loopwheel は地元の小さな町工場で試作を重ねながら、
コンセプトをどうしたら具現化できるかを徹底的に突き詰めた結果、
今回のようなFRPの新たな適用方法を具現化しています。


コンセプトを大切にしながら事象をいかにシンプルに考え、
付加価値を出して利益を生み出すか。


Loopwheel はこれを良く考えているのではないかと思います。

 

 

FRPの適用拡大においては、このように材料に関する知見のみならず、
設計を主体とした幅広い視点を持つ技術者の存在が不可欠です。

 

 

FRP事業の拡大や該事業への参入をご検討するにあたっての参考になれば幸いです。

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