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帝人と米General Motors社の共同開発

2014-11-16

帝人とGeneral Motors社(GM社)の量産車向け熱可塑性CFRP(炭素繊維強化樹脂)部品の開発プロジェクトが、「量産に向けて最終段階を迎えている」という発表がありました。

 

本件に関する記事はこちらです。

 

帝人 の熱可塑性CFRPは、1分で成形できる生産性の高さを武器に自動車部品への搭載を狙っていたというのは、この業界では有名な話です。

 

量産車向け熱可塑性CFRPを共同開発する契約を締結し、GM社が世界に展開する乗用車やトラック、クロスオーバー車などの量産車に採用する計画を2011年12月に発表をしていました。

 

 

さて、熱可塑性マトリックスのFRPを自動車部品に搭載しようというのは、王道トレンドの一つと捉えられています。

 

一般的には、この熱可塑性プリプレグは上述したような短時間での成形を武器に評価されていますが、それ以外にも材料として、熱硬化よりも熱可塑の方が物性が高いというのは意外にも知られていません。

 

例えば、破壊靭性。

 

がちがちの三次元架橋反応分子レベルで起こす熱硬化性樹脂と異なり、熱可塑性樹脂は長いひも状の高分子が絡み合ったような形態をしています。

そのため、亀裂進展といった破壊形態に対して極めて高い性能を発揮します。もちろん、この高い性能を発揮するのはガラス転移温度よりも十分に低い温度領域においてのみである、という制限付きであることは付け加えておきます。

 

もう一つのメリットが保存性。

 

低分子から付加反応などの高分子化の反応を進めようとする場合は別ですが、一般的な熱可塑性樹脂は既に重合が終わっているため、室温保管をしていてもあまり劣化することなく利用することができます。一方の熱硬化性樹脂は硬化剤と活性な低分子量の有機化学物質がはいっているため、?20℃以下の低温域でないとあっという間に材料が劣化します。そして、冷凍庫に保存したとしても使用できるのは一般的に製造後1年半から2年程度であることを考えれば、熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂よりも優れた材料と考えることができるでしょう。

 

 

その一方で当然欠点もあります。

 

 

最大の欠点は耐熱性です。

 

通常利用で100℃を超えるような環境で使用できる熱可塑性樹脂はほとんどありませんが、熱硬化性樹脂では耐熱指標の一つであるガラス転移温度が200℃を超え、100℃の長期利用に耐えるものもあります。

 

そして、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)といった高い耐熱性を有するスーパーエンプラのような熱可塑性樹脂を用いると、その耐熱性のため柔らかくするために金型を400℃を超える高温に加熱せねばならず、成形が極めて困難となります。

 

 

そしてもう一つの欠点が外観。

 

 

樹脂が多くてもいいのであれば問題ありませんが、FRPを構造材として用いるために繊維体積含有率(Vf)を高めようとすればするほど表面付近の繊維量が増えて外観が悪化します。熱硬化性樹脂の場合、本格的な硬化が始まる前にいったん粘度が急激に下がるため、成形も容易で外観の仕上がりも同じ繊維体積含有率という条件下で熱硬化性樹脂の方が熱可塑性樹脂よりも優れています。

 

 

熱可塑性マトックスのFRPと熱硬化性マトリックスのFRPについて、いくつかの切り口から比較しました。

 

帝人 の材料がGM社の車両に大量に採用されることで、FRPの自動車への適用拡大が進むかもしれません。

 

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