Plataine が FRPの材料管理も想定した AI / IoT を用いた工程最適化ツールを展開
第四次産業革命の文言のもと注目の高まる AI / IoT。
マスコミ記事、各種講演などでも見かけない日が無いくらいです。
その流れもあってか、FRPの業界でも徐々に AI / IoT を使うケースが出てきています。
実際、私のクライアント企業の一部でもこの手の技術を応用しようという取り組みをしています。
今日は、Composite Worldに出ていた以下の記事をベースに、
FRP業界でのAI/IoTの適用例について紹介したいと思います。
記事は以下の所で見ることができます。
Plataine and Google Cloud partner on factory floor AI solution / Composite World
PlataineのFRPに対するAI/IoTの活用の取り組み
PlataineのHPを見る前に、まず以下の Plataine CEOのインタビューを見てください。
HPよりもわかりやすい解説をしてくれています。
※Plataine CEOインタビュー
詳細は上記の動画を見てもらえればと思いますが、
要点だけ述べると以下の通りです。
– 航空業界において、FRP(Composite)の材料を使用期限内に使用する、
そのために工程をどの順番で組み、どのように人を配置すべきかということについて、
システムが最適化提案を行う、といった適用が一例。
– AIシステムにインプットされる情報は、
・「ERP(Enterprise Resource Planning:経営における資源要素の有効分配計画)」
・「センサーを経由した設備稼働/空き状況」
・「人的配置/空き状況」
といった3要素が基本。
– アウトプットはAIの特定アルゴリズムによって最適化された解をもとに判断し、
時間軸とリソース配分方法の2つを基本としてタイムリーに提案を行う。
– データのやり取りにはクラウドを使うことでデータ保管の負荷を低減。
セキュリティーについては防衛関連企業の協力を得ることで対応している。
※上記防衛については、情報セキュリティー企業のことを言っているかもしれません。
– 特定の要素に着目するのではなく、全体を一つの枠組みとしてとらえることがコンセプトである。
一般的な言及よりもより具体的に述べられているというのが私の印象です。
さて、なぜ航空機のFRPへの適用というのが事例として述べられているのか、
については以下のPlataineのHPを見ると合点がいくと思います。
トップページにGEを例にした導入が述べられています(航空だけでなく、風力発電も含む)。
ここではFRPだけでなく、CMCなども対象となっています。
材料管理だけでなく、工程全体の品質管理とトレーサビリティー、
オンタイムでの製品出荷というトータルでの工程最適化に効果があったとのことです。
航空に関してはこちらのページでも概要が述べられていますので、
興味のある方はご覧ください。
AIの強みと課題
AIやIoTの中で、AIについて少しだけ私見を述べておきたいと思います。
まずメリットの中で最大のものは、
「非線形での予想や近似が可能である」
という点です。
ここは古典的モデルでは困難、または複雑化するケースが多く、
もし最適解がシャープに出現するときにはAIは思いもよらない素晴らしい回答を示すでしょう。
その一方で課題もあります。
1点目はラーニングです。
AIの強みと表裏一体ではありますが、
AIはラーニングさせなくてはいけないので、
精度の良い解を出せるようになるまで時間がかかる可能性があります。
途中ではむしろ誤った答えを出すかもしれません。
誤った答えを出したということを覚えさせるのも大切なラーニングです。
そして2点目がAIがどのような経緯で解を出したのか、
という経緯がわからないということです。
仮に問題だらけの解を出した場合、
アルゴリズムのどこに問題があって、それをどう修正すればいいのか、
という究明ができないのです。
究明できないということは泥沼にはまる可能性もあります。
最後の3点目が、
しかるべきインプットとアウトプットを指定しないと、
AIはきちんとした解が出せない、
ということになります。
これは一般的な多変量解析でも全く同じですが、
結局のところ出だしできちんとしたデータ設定ができないと、
欲しい結果が得られないのです。
AIといえども初めの設定は人間がやる、
ということを考えれば当然かもしれません。
やはり最新の情報化社会といえども、それを適切に扱える人間が必須なのです。
いかがでしたでしょうか。
課題を多く書いてしまいましたが、
結局のところ研究から開発、そして量産までを最前線で実経験した私の考えとして、
「本質が何であるのかを見極めるため、技術は極力シンプルにすべし」
というものが背景にあります。
そう考えるとAIもIoTも技術の本質をきちんととらえられているかどうか、
という生身の人間の本質的な力によって、成否か決まると考えます。
時代の流れを上手くキャッチしながらも本質を見失わないようにする。
そのような基本姿勢がFRPに限らず、すべての業界に求められているのだと思います。