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社会資本の老朽化対策としてのFRP適用

2022-02-10

2021年に国土交通省は令和3年版国土交通白書を発表しました。

その中に災害リスクの増大や老朽化インフラの増加という節があり、冒頭にて 社会資本の老朽化 という内容の文章が紹介されています。

 

概要としては上下水道や道路、トンネル、そして河川、海、山沿いに存在する、いわゆるインフラ関係の構造体の老朽化が進んでいるという内容です。状況は想定されているよりずっと深刻のようです。

 

道路メンテナンス年報によって明らかとなる状況

社会資本の老朽化対策にFRPを活用するのは一案

Photographed by Erik Mclean

どのくらいのインフラの劣化が進行しているのか。そのようなことを理解するのに最も適した媒体の一つが「道路メンテナンス年報」です。これは道路インフラを一例として、インフラの状況を確認した結果をわかりやすく示しています。

例えば2021年8月発行の道路メンテナンス年報をみると、道路と橋梁の約60%が何かしらの劣化状態にあり、トンネルに至ってはその割合が97%に到達しています(国交省、高速道路会社、地方公共団体管理全体)。

トンネルは排ガスがたまりやすく酸化劣化が進行しやすい、常に高い荷重がかかり続けるといったものが、その一因なのかもしれません。

笹子トンネル崩落事故などは今でも多くの方の記憶に残っているに違いありません。このような事故が二度と起こらない様、国交省もまずは状況把握のため点検を進めているというのが現状だと思います。

これから納税額が大幅に増えることは期待できず、インフラ開発以前にインフラの維持と保守という所にお金が回らない時代になることを考えれば、点検の結果、何かしらの対策が必要という判断となっても必ずしも対応がなされるとは限らない時代に入っています。

 

社会資本の老朽化の点検技術は進化している

このような国の動きを支えるのが、点検技術です。今のトレンドはドローン、AI、データ共有の3軸のようです。この辺りを自治体として取り組んでいるところの一つが君津市です。以下の動画を見ると、この取り組みが大変理にかなったものであることがわかると思います。

このように人をできるだけ使わずに、人による見逃しを減らしていこうというのは世界的な潮流とも言えます。日本は自治体レベルでもこのような動きが出てきており、当該テーマに対する取り組みは熱心な国の一つといえるかもしれません。

このような点検技術によって明らかになった「補修必要箇所」に、何かしらの対策をしよう、となった場合に登場するのがFRPになります。

 

FRPは形状自由度の高い賦形性と異方性でインフラ補修に力を発揮

FRPというと、航空宇宙や軍需、レース、スポーツ、レース車両といったアプリケーションを思い浮かべる方が多いかもしません。しかし、このアプリケーションは一面でしかありません。

実はFRPの様々な形へ成形しやすいというのは、色々な形状のインフラストラクチャーの補強や補修に適合しやすいということとイコールになります。

補強したい方向が明確であれば、FRPの異方性を活用した補強設計ができます。さらに、FRPはそもそも高分子と無機繊維の組み合わせのため耐腐食性も高い。このようにFRPは補修や補強材料としてのアプリケーションもすそ野が広いのです。

例えば、ガラスクロス付き連続繊維FRP格子筋(トウメッシュ)を用い、トンネルなどの内壁を補強する技術を以下のコラムでもご紹介したことがあります。

トンネル の天井崩落対策へのFRP活用

また、橋に付随する歩道部分に特化し、FiberSPAN-Cという製品を用いて100年間メンテナンスフリーの歩道に更新したという事例もあります。

FRPを使った橋上の歩道更新

 

 

このようにFRPを社会資本の老朽化対策に向けた候補材料として考えることは、決してやぶさかではありません。

ただし、ここで問題となるのはFRP構造設計のわかる技術者が多くないということです。

内容もわからずにシミュレーションを使う、異方性もわからずに曲げ試験で評価を行う、材料の特性を理解するための材料規格を作成しない、といったのはその一部にすぎません。どうしても地道な計算や評価を飛ばし、万能解を求めるという効率重視の流れが強すぎるようです。

上述の通りインフラの劣化は待ったなしです。その劣化を点検し、あぶりだす技術は進化を続けています。しかし、それを最後に補強、補修する材料は構造設計を基本とした基本理論に基づいた適切使用のみがその正解なのです。

 

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