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Royal HaskoningDHV / CEAD / DSMのオランダ企業連合による FRP 3D printing製の橋コンセプト発表 Vol.129

2019-09-10

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FRPのプロが注目する「業界最新ニュース」Vol.129 2019/9/9

(隔週月曜日発行)

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<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

・「FRP業界最新ニュース」

・お知らせ

・編集後記

 

<今週の「FRP業界最新ニュース」> ━━━━━━━━━━━━━━━━

今週のFRPのプロが注目する「業界最新ニュース」では、

「 Royal HaskoningDHV / CEAD / DSMのオランダ企業連合による FRP 3D printing製の橋コンセプト発表 」

ということについて述べてみたいと思います。

一時期に比べるとトーンが下がりつつある 3D printing 技術。

しかし、材料に加え、設備側の最適化も進み、
企業によっては着実に検討が進められてきています。

※過去に 3D printing について以下のようなコラムで述べています。

3Dプリンターの現状と課題について

Conair の 3D printing Filament

CFRPの 3Dプリンタ Windform – CRP technology

ASKJA Audio が 3D プリンティングで作製した音響機器を発表

3Dプリンタ向け 熱可塑性エラストマー

 

 

今日ご紹介するのはオランダの企業連合による、
GFRTPを材料とし、3D printing 技術を用いた橋のコンセプト発表になります。

参画している企業は Royal HaskoningDHV / CEAD / DSM の3社。

Royal HaskoningDHVは複数国の技術者、研究者が登録している、
技術コンサルティング企業であり、技術専門家集団のようです。

6000人近い専門家を抱え、
航空、建築、エネルギー、インフラ、海事、工業、農村/都市開発、水処理等がその対応領域のようで、
極めて広いことがわかります。

https://www.royalhaskoningdhv.com/en-gb

CEADは 3D printing の設備の設計や販売を生業とする企業で、
伝統的なFRP製品設計や製造を行うPoly Productsとの関係もあるようです。

https://cfamprime.com/

連続繊維を 3D printing により積層する技術を有しており、
大型のものまで対応できるというのがその売りのようです。

現在発売されている設備では、
材料のフィーディングは最大15kg/h、
積層可能な製品サイズは 2 X 4 X 1.5 mとのことで最大級。
積層できる材料はPP、ABS、PETのような汎用プラスチックをマトリックスとしたものに加え、
スーパーエンプラのPEEKも可能とのこと。

使われている材料は不明ですが、以下のような動画も公開されています。

DSMはオランダの有する大手化学メーカーで、
様々な製品を投入しています。

汎用樹脂やエンジニアリングプラスチックがその主力です。

https://www.dsm.com/markets/engineering-plastics/ja-jp.html

またニートレジン(樹脂単体)に加え、
フィラーや繊維強化、並びに難燃性グレードもあるようです。

さて、このようなオランダの3企業が手を組んで取り組んだのが、

「新しい橋のコンセプト立案」

です。

橋といっても大きなものではなく、
外観写真を見る限り、人や自転車、
または2輪自動車程度が渡れるものではないか、と感じています。

Royal HaskoningDHV のトップページの画像に乗っていますね。

概況については以下のページに書かれています。

https://www.royalhaskoningdhv.com/en-gb/specials/3d-printed-frp-bridges

ポイントとなる部分について、
順にみていきたいと思います。

今回使用する材料をGFRTP(熱可塑性ガラス繊維強化プラスチック)とし、
製法を3D printingを採用した狙いから確認していきます。

GFRTPを使用材料とした狙いは、
耐腐食性とメンテナンスフリーによる長寿命化です。

ターゲットが「橋」というインフラであるため、
求められるのは不定期な荷重をかけられながらも雨風にさらされるという環境において、
いかに長持ちするのかということ。
そういう点でGFRTPのような熱可塑性樹脂を繊維強化した耐腐食性に優れる材料が選ばれています。

そして3D printingを適用した理由ですが、

「形状設計の自由度」

と書かれています。

従来の橋は金属などを基本としているため、
それらの材料形状が最終製品である橋にも多大な影響を与えています。
例えばH鋼がいい例です。
基本的に直線で、断面がアルファベットのHでは、
採用できる形状に制限がでます。

しかしその一方で 3D printing は、

「断面を一層ずつ積層していくので、形状に対する制限はない」

という最大の特徴があります。

この特性を活かし、
橋というアプリケーションに対する形状をゼロベースで見直し、
安全性が高い設計を最適化しようという狙いがあります。

形状設計に対する自由度を手に入れられれば、
顧客に対する新たな付加価値を提案できるとも書かれています。

もう一つは廃棄材料がゼロであるということ。

上述の通り3D printingでは断面を一層ずつ積層していくのがコンセプトです。

そのため、穴加工や追加工などが必要ありません。

結果として材料は一切の無駄なく使うことができるのも大きなメリットと書かれています。

SDGs等、エコロジーに関する関心が高まる昨今においては重要な観点です。

DSMの供給する材料は Arnite(R) というPETをマトリックスとした、
ガラス繊維強化樹脂(GFRTP)です。

CEADの設備を使うということは、
恐らく連続繊維ではないかと想像します。

そしてもう一つ興味深いのがセンシングを取り入れているということです。

私もFRPで注目している機能の一つですが、
センサーを装着することで、橋の状態をモニタリングする、
ということができるようになっているとのこと。

建築で高いレベルを有する日本でも、
最近は常識になりつつありますが(例:東京ゲートブリッジ等)、
このような考え方はFRPの場合、特に重要です。

何故ならばFRPそのものが繊維と樹脂を組み合わせた複合材料なので、
そこにセンサーを組み合わせた複合材料という設計も可能性があるためです。

上記で紹介した3D printingで作る橋のコンセプトの詳細については、
先週ニューヨークで開催されていた、

2019 IABSE Congress
https://www.iabse.org/IABSE/Press_Releases/Newyork2019.aspx

にて発表されたようです。

今回の発表において、技術的にいうと、

– FRPを使う技術的動機が明確である

というところがポイントにあるでしょう。

ここはFRPのような比較的新しい材料を用いる際は不可避の部分です。

加えて、

専門性の異なる同国企業が組んでいる

というのもポイントです。

時代の流れとして複数企業が力を合わせるのは不可避になりつつあります。

しかし企業間で国籍が違うと、
言葉というよりも仕事の進め方による文化の違いが生じ、
うまく機能しないこともあります。

その点、今回はオランダに本体のある企業が手を組んでいます。

国の文化や商習慣を理解している企業同士が組むということの必要性が高まっているのかもしれません。

今後もFRPの適用動機を明確化しながらも、
複数の企業がそれぞれの強みを生かしながら前進する、
という取り組みが加速していくのかもしれません。

複数組織協業の際のポイントは、

「協業すると決まったら隠さないこと」

ですね。

お互いにオープンになることで、
様々な相乗効果がでるでしょう。

3D printingが、FRP適用の新たな出口戦略の主軸となることを期待したいと思います。

<お知らせ> ━━━━━━━━━━━━━━━━

今後の登壇予定のセミナーを以下の通りご紹介させていただきます。
合わせて参加をご検討ください。

– 2019年11月29日(金)10:30-16:30
※開催日程に変更がありました※

会場:日刊工業新聞社 東京本社 セミナールーム(東京・日本橋)

CFRP/GFRP材料規格(Material Spec)の中身とその作成に必要な材料試験実施法

https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/3109

– 2020年1月23日(木)10:30-16:30

会場:日刊工業新聞社 東京本社 セミナールーム(東京・日本橋)

日刊工業新聞社からセミナー登壇の依頼をいただいています。
詳細決まりましたら再度告知します。

– 月刊誌「 機械設計 」連載:2019年10月号発売中

2019年10月号の連載では、FRP製品製造の安定化と、
最重要である市場問題発生時の原因究明の迅速化、
という役割を担う工程規格について述べています。

※題目 将来にわたる最低限の品質確保に必須のFRP工程規格
http://pub.nikkan.co.jp/magazines/detail/00000894

<編集後記> ━━━━━━━━━━━━━━━━

最近、妻の読んでいる小説が面白そうでしたのでかりて読みました。

あなたの人生、片づけます (双葉文庫)という、
垣谷 美雨さんが書いたものです。

いわゆる断捨離関係の本ですね。

これがなかなか面白い。
お片付けの指南本かと思いきや、
物を持つ、物に対して執着するという人間の深層心理を、
とても丁寧に描写しています。

ノンフィクションですが、実話や取材をベースにしていると思います。
大庭十萬里というお片付けの専門家の鋭い洞察、
感情を制御しながら、適度な距離を保ちながら、
相手に自分自身を理解させるという心理戦はなかなかです。

上記のようなお片付けの話。

実は技術の仕事や経営というビジネスにもつながる部分が多い、
ということを感じています。

どのようなものなのかは実際に読んでいただくのが良いかと思います。

因みに今は垣谷さんの「老後の資金がありません」という本を読んでいます。

こちらは全く他人事には思えない部分も多く、
今のうちに色々動かなくてはと思わされるものです。

尚、貯蓄や投資というお話は一切ありません。
人が周りの人間の加齢や環境変化でどのようなことが起こるのかについて書かれている本です。

一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

・ 著書/連載情報━━━━━━━━━━━━━━━━

月刊「機械設計」(日刊工業新聞社)「これからの設計に必須のFRP活用の基礎知識」連載中
http://pub.nikkan.co.jp/magazine_series/detail/0001

『CFRP製品設計の前提知識 ~CFRP業界の特殊性を踏まえた重要ポイント~』
http://www.johokiko.co.jp/ebook/BC170601.php

『CFRP ~製品応用・実用化に向けた技術と実際~』(共著)
http://www.johokiko.co.jp/publishing/BC160301.php

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