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Victrex が高速加熱成形技術を有する Surface Generation へ出資 Vol.114

2019-02-11

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   FRPのプロが注目する「業界最新ニュース」Vol.114 2019/2/11

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<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

・「FRP業界最新ニュース」

・お知らせ

・編集後記

<今週の「FRP業界最新ニュース」> ━━━━━━━━━━━━━━━━

今週のFRPのプロが注目する「業界最新ニュース」では、

「 Victrex が高速加熱成形技術を有する Surface Generation へ出資」

ということについて述べてみたいと思います。

個人的には驚きのニュースです。

昔から実績のあるPEEKをはじめとした、
PAEK(ポリアリールエーテルケトン)の製品ラインナップを有するVictrexが、
PtFS (Production to Functional Specification)という、
セルで分割されたヒーターの温度プロファイルを細かく制御することで、
成形時間の短縮をはじめとした成形工程の最適化技術を有する、
Surface Generationに出資をしたというニュースが出ていました。

JECに加え、Victrex (英語版のみ)とSurface Generationにそれぞれリリースが出ています。

– Victrex
https://www.victrex.com/en/news/2019/02/victrex-invests-in-technology-with-surface-generation

– Surface Generation

Victrex & Surface Generation to Develop Medical Implants

Victrex の狙いは明確ですね。

材料だけを売っていても顧客の拡大が見込めないため、
成形プロセスまで含め材料側で関り、
より川下までアプローチしよう、
という近年の欧州材料メーカーに見られる典型的な戦略です。

これを最も熱心に進めているのはSolvayでしょう。

ただ、今回はあくまで過去にも実績のある出資であり、
子会社化するといった話ではないので、
付かず離れずというVictrexのスタンスが見て取れます。

今までより多くの資金を投入したということだと思います。

これに対し、Surface Generationで述べられている今回の件は非常にシンプルです。

要は、

「自社の固有技術である PtFS の妥当性を証明したい」

という自社製品の拡大を狙っている、と述べているだけです。

マーケット対象のウェイトとしては、自動車をはじめとした各種業界が述べられている一方、
PAEKの誘導体が多く使われる実績を有する医療を意識しているようです。

ここは妥当な戦略でしょう。

PtFSの技術の概要としては以下のページを見るのが最もわかりやすいと思います。

特定のセルの温度を高める、すぐに冷ますといったことを細かく制御することで、
厚物の加熱成形はもちろん、脱型までの時間を早めるということも可能になると考えます。

ここで、リリースをもう少し広い観点で見ていきたいと思います。

一言で言うと成形技術に特化する企業のジレンマを感じます。

恐らく、Victrexとより関係を深めれば資金面でもマーケティング面でもメリットが得られる一方、
成形メーカーとして最も恐れる、

「特定の材料しか使えないという縛りが出る」

という事象が発生します。

成形技術、成形加工技術に特化した企業は、
設備投資が必要なケースや、
自社製品販売までのリードタイムが長いケースがあり、
資金ぶりに苦慮するケースが多々あります。
(売上利益が順調でも、資金がショートするリスクが付きまとう)

ここからはあくまで想像ですが、
Surface Generationも本社のあるイギリスのEU離脱等のリスクを踏まえ、
海外マーケティング強化に加え、資金の確保に動いているのかもしれません。

FRPの使われた最終製品の開発プロセス全体という観点において、
技術者の方の多くが注目している成形加工というのは、
あくまで一部でしかありません。

形状設計、構造設計、CAEに加え、
材料選定(設計)、品質保証(検査、記録等)等、
多くのことに目を向けなくてはいけないのです。

さらに言ってしまえば、上記の話はあくまで技術的観点のみです。

自社製品やサービスを求める顧客がいるのか、
そしてその顧客をどのように獲得するのか、
というマーケティングも技術と同等以上に重要です。

固有技術を有する Surface Generation が今回踏み出した、
大手材料メーカーの資金受け入れ。

技術とマーケティングの両方のバランスを考えての新たな一歩といえるかもしれません。

<お知らせ> ━━━━━━━━━━━━━━━━

今後の登壇予定のセミナーを以下の通りご紹介させていただきます。
合わせて参加をご検討ください。

– 2019年 2月21日(木)10:30-16:30

会場:日刊工業新聞社 東京本社 セミナールーム(東京・日本橋)

CFRP/GFRP材料規格(Material Spec)の中身とその作成に必要な材料試験実施法

https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/2320

– 2019年3月18日(月)12:30-16:30

会場:大田区産業プラザ(PiO)6階G会議室(東京・南蒲田)

CFRP材料の実践的基礎知識と最新動向

https://johokiko.co.jp/seminar_chemical/AC190312.php

<編集後記> ━━━━━━━━━━━━━━━━

先日、税理士法人に勤める友人を訪問しました。

彼とは、経営を勉強するために通っていたところで知り合い、
それ以来5年以上の付き合いになります。

「是非、一度遊びに来てください」

という言葉にそのまま図々しく乗っかる形で、
菓子折り片手に訪問しました。

まず驚いたのは受付での社員の方の応対。

訪問したとたん、全員が立ち上がり、
大きな声で「いらっしゃいませ」と大きな声であいさついただきました。
人数はざっと100名以上はいたでしょうか….。

その後もきめ細かい案内で気持ちよく打ち合わせ室に入ることができました。

私は仕事柄、契約後の企業については、訪問することが多いです。
恐らく、営業経験のある方はわかるかもしれませんが、
入った瞬間の雰囲気で

「この企業は伸びそうか否か」

というのがわかるようになってきました。

これは技術者というよりも、経営者としての目線を養ってきたことが背景にあるのかもしれません。

上記の税理士法人もあいさつしたから、といった特定の要素ではなく、
全体の空気から伸びそうだと感じました。

当然ながら、自社が関わる企業で伸びそうか否かについては、

「技術力」

が大きなウェイトを占めます。

この技術力も、技術職だけでなく、マネジメント職、総合職含めた企業の全体の雰囲気で感じるのです。

規模の大小はあまり関係ありません。
まさに空気ですね。

さて、上述した友人訪問では法人決算に向けた様々な助言をもらいました。
普段一緒に酒を飲みながら笑い話しかしていないので、
笑顔を交えながらも的確な応答に感心しながら聞いていました。

一部は自社の税務に適用できそうな話でしたので、とても参考になりました。

そして案の定、彼の勤める税理士法人はものすごい勢いで伸びているようです。
伸びる故の悩みや危機感もあるようですが。

企業の空気の大切さを改めて感じた一日でした。

・ 著書/連載情報━━━━━━━━━━━━━━━━

月刊「機械設計」(日刊工業新聞社)「これからの設計に必須のFRP活用の基礎知識」連載中
http://pub.nikkan.co.jp/magazine_series/detail/0001

『CFRP製品設計の前提知識 ?CFRP業界の特殊性を踏まえた重要ポイント?』
 http://www.johokiko.co.jp/ebook/BC170601.php

『CFRP ?製品応用・実用化に向けた技術と実際?』(共著)
 http://www.johokiko.co.jp/publishing/BC160301.php

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