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ニーズの高まる難燃性FRPである SAERTEX LEO(R) SYSTEM とは Vol.104

2018-09-24

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   FRPのプロが注目する「業界最新ニュース」Vol.104 2018/9/24

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<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

・「FRP業界最新ニュース」

・お知らせ

・編集後記

<今週の「FRP業界最新ニュース」> ━━━━━━━━━━━━━━━━

今日の「FRP業界最新ニュース」では、

「 ニーズの高まる難燃性FRPである SAERTEX LEO(R) SYSTEM とは」

ということについて述べてみたいと思います。

SAERTEX LEO(R) Range: SAERTEX LEO(R) COATED FABRIC and SAERcore LEO(R)という製品について、
以下のプレスリリースが出されました。

http://ux.nu/tbjcp

SAERTEX LEO(R) というのは難燃性を有する材料製品の総称のようです。

どのようなものかを確認するには SAERTEX LEO(R) SYSTEM に関する動画を見るのが最短かもしれません。

概要は見ていただければと思いますが、
ポイントは以下の通りです。

– 66台の ICE-3 の新たな床材として27,000 sqm 適用された

– 高速列車をはじめとした乗り物では乗客の居住性を向上させるため様々な機器を搭載する必要があり、
重量が増加する傾向がある。そのため、軽量化についてはニーズが高い。
(エアコン、エンターテイメント、その他制御装置等)

– 高速列車の床材は現状木材のラミネート

– 材料構成は最外層がゲルコート、その下に強化繊維、さらにその下にコア材があり、
それ全体を難燃性樹脂(LEO Infusion Resin)でインフュージョン成形している。

– 難燃性評価規格 EN-455452-2 に基づいた評価により、燃焼スピード、煙の発生が抑制されていることを証明

上記の動画中では強化繊維は色々と選べると書いてありますが、
ほぼ間違いなくガラス繊維でしょう。

断熱性に加え、炭素繊維のような導電性もないことが主因です。

案の定、Bombardier の方が内装材に関する話をしていますが、強化繊維はガラス繊維であることがわかります。
以下のURLの右下のSAERTEX LEO(R) – Composite-System fuer hoechste Brandschutzanforderungen という動画をご覧ください。

https://www.saertex.com/en/products/saertex-leo-serie/saertex-leo-system

※Bombardierの話ですが、アプリケーションは航空ではなく高速列車です。

参考までに上記の動画の途中で引張試験の画像が出てきていますが、
個人的にはあまり意味がないかな、と思っています。

HLU、つまりハンドレイアップで作るGFRPは取り扱いを優先し繊維長はあまり長くありません。
その一方、Saertex の材料は連続繊維ですので強度が高いのは当たり前です。

破壊形態を見てもらえれば両者のそもそもの違いはご理解いただけると思います。

もちろんそれ以外にもマトリックス樹脂や繊維の種類、
そしてVf(繊維体積含有率)が同条件か否かというのも議論の前提ですね。

今回ご紹介した難燃性のFRP材料ですが、
今後さらにニーズが高まると考えられます。

FRP材料はご理解の通り軽量かつ高強度が最大の特徴。

そしてFRPを複合材料としての特徴をさらに際立たせるためには、

「+αの機能性を付与させる」

ということが極めて重要です。

その中で難燃性という機能性はFRPが生きる方向性の一つであることは間違いありません。

軽量かつ高強度というとどうしても構造部材のイメージになりがちなのですが、
そこは軽量や高強度という特性だけでなく、

「設計のしやすさと実績に基づいた安全性」

というFRPが最も不得意とする(または理解されにくい)部分が重要視されるケースが多いからです。

その点、内装材は強いというよりも

「燃えにくい」

ということが最重要。

その機能性を持ちながら既存のアルミでは実現が困難な、
部品点数削減、軽量化といった様々なアプローチが可能になってきます。

また樹脂単体を材料とする部品に対しても剛性や強度の改善により、
薄肉化も可能でしょう。

このような設計的アプローチが可能であるというのがまず一点です。

加えて今回の Saertex の発表で驚くべきは難燃性のマトリックス樹脂が熱硬化であるということ。

基本的に熱硬化性樹脂は難燃性が低いものが多く(フェノールなどの例外もあります)、
一般的には燃えやすいものが多いです。

特に熱硬化性マトリックス樹脂の代表格であるエポキシ樹脂は燃えやすいということは知られています。

この辺りを上手く材料開発したということであれば、
これはアプリケーションを拡大させるためのブレークスルーになるかもしれません。

FRPの適用で機体の高まる内装材。

難燃性を確たる機能性としてみにつけ、
様々な領域のアプリケーションでFRPが今以上に広範囲で使われていくと期待できると考えます。

<お知らせ> ━━━━━━━━━━━━━━━━

今後の登壇予定のセミナーを以下の通りご紹介させていただきます。
合わせて参加をご検討ください。

– 2018年 10月 4日(木)
10:30?16:30

会場:日刊工業新聞社 東京本社 セミナールーム(東京・日本橋)

FRP製品開発フローと技術的なポイント

https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/1927

– 2018年 11月 27日(木)
10:30-16:30(昼食付)

会場:ウインクあいち12階1208(愛知県名古屋市中村区名駅)

<FRP関連技術で海外進出を目指す企業向け>
海外サプライヤとの折衝・交渉のための技術的ポイントとノウハウ

http://www.johokiko.co.jp/seminar_chemical/AC181117.php

<編集後記> ━━━━━━━━━━━━━━━━

最近子供向けに購入した(+祖父母に買ってもらった)漫画の歴史本を読んでいます。

世界と日本と両方ありますが、今は日本の歴史ですね。

まずは大好きな室町から安土桃山まで読んだ後、
最も興味のある明治維新と新政府というところを読んでいます。

一言でいうと「いつの時代も変わらないな」という感じです。
忖度(そんたく)や排除など、
結局のところ組織を一つの方向に向かわせるのは言うほど簡単ではないということです。

異なる意見を聴きながら一つにまとめていくというのがもちろん理想ですが、
現実はなかなかそうはなりません。

考え方が違うからといって排除してしまうのは論外ですが、
異なる考えの人や組織を説得するのはかなりの労力です。

私は自社組織ではトップですので組織の論理とは無関係でトップダウンで進めますが、
それでもある程度大きなことをやるためには自社だけでは困難な場合もあります。
その場合はクライアント企業や行政を動かすため、
組織理論に基づき調整等をすることもあります。

いつの時代もどの仕事でもマネジメントの力はある程度必要なのだ、
と再認識する日々です。

・ 著書情報━━━━━━━━━━━━━━━━

『CFRP製品設計の前提知識 ?CFRP業界の特殊性を踏まえた重要ポイント?』
 http://www.johokiko.co.jp/ebook/BC170601.php

『CFRP ?製品応用・実用化に向けた技術と実際?』(共著)
 http://www.johokiko.co.jp/publishing/BC160301.php

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