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FRP戦略コラム 他業界の設計者 として最重要のFRP関連情報

2018-03-13

今日の FRP 戦略 コラム では私が 他業界の設計者 でFRPという材料を使って製品設計をしたい場合、
どのような情報を必要と思うか、ということについて述べてみたいと思います。


尚、ここでいう設計者とは様々な業界で最終製品を販売する企業に所属する設計者をイメージいただければと思います。


川上から川下まで様々な業界の企業の方がいらっしゃるかと思いますが、
自社の情報発信戦略やデータ取得の方向性を検討するにあたっての参考になればと思います。

 

Material / Process / Prototype に偏重する懸念


先週まで開催されていた世界最大の展示会JECを初め各種国内外の展示会はもちろん、
顧問先企業を通じて参加する様々な国内外のプロジェクトに最前線で参加させていただけるチャンスを各方面からいただいておりますが、それらの経験を通じていつも疑問を感じることがあります。


それは表に出てきている技術の多くが


Material / Process / Prototype に偏重している


ということです。


日本語でいえば 材料 / 積層、成形、加工 / 試作品 といったところでしょうか。


FRP設計者としてこれらの情報が必要なのは言うまでもありません。


ただこれらの情報の多くがFRPを扱ったことのない設計者の観点から見ると、


「わかりにくい」


というのが本音なのではないでしょうか。

 

FRPを扱ったことのない方でも、


「どのようなことに気を付けて使えば自社製品に適用できるのか」


という情報があればいいのですが、国内外問わず二言目には機密なので、といったたぐいの文言で情報が出てこないことが多い。


またよくよく話を聴いてみると他業界では全く評価されていない二番煎じの技術が最新という名目で紹介されている、といったこともあり、健全な情報が出ていないということも散見されます。

 

私からみていると、どのようなことに気をつければいいのかをきちんと伝達していかないとFRP関連技術の適用拡大は進まないと考えており、結果として産業が育ってこないと思っています。

 

オープンに議論したくともそれを許容しないというのはFRP関連業界の固有の文化なのかもしれません。

 

業界が長くとも誤解の多い戦略


私の顧問先はFRPに関して経験のほとんどない企業から、20年以上の歴を持つ企業までいます。


しかし20年近い歴を持っている企業においても、


「自社製品を理解してもらう取り組み」


が大きく欠けているというケースが後を絶ちません。

これは機密として隠そうとしているのではなく、自社のことを客観的に見るということをあまり行ってこなかった結果なのではないかと思います。

あまり細かいことを突っ込まれると顧客との機密に触れるという場合もありますが、
そもそもそれ以前に突っ込まれたときに回答できる経験や技術データが無いということに驚くことがあります。


むしろFRPをほとんど触ったことのない業界の企業の方がFRPに対して真摯に向き合い、
何とか理解しようと努力している場合が多いです。

当然ながら欠けている部分が多いのでそこを補填する仕事はかなりの負荷のかかる作業となりますが、
FRPに対して先入観がない故、私の指導を受け入れてくれる企業が多いと感じます。

いずれにしてもFRPに関連する業界で経験が長くとも、
それを一般的なものとして広げていこうという取り組みがやや不足しているというのが実感です。


振り返って自分がもしFRPを知らない設計者として話をきいたときに、
FRP関連業界での経験が長い企業が相手であったとしてもFRPを使う判断はしないと思います。

 

原点である材料について具体的にどのような特徴と限界があるのかがわからないからです。

 

ではどのような情報があればFRP関連業界での経験が無くとも使おうと思うのかについて考えてみたいと思います。

 

すべての話の原点は材料の「異方性」

FRPというと軽くて強い先進材料、という方が多いですがそれはまず置いておくとして、
何より最初に伝えてほしいのは、


「FRPは異方性を有する材料である」


という”事実”です。


ランダム材は異方性が無いという話をたまに聞きますが、その手の材料の量産使用経験のある私から言うと十分に異方性があります。


これはどこを基準にして異方性を議論しているのかによるからです。

FRPの異方性というのは樹脂単体や金属と比較し圧倒的に大きい場合が多いです。

一方向材のUDはもちろん、織物、組み物、SMCなども基本的には従来材よりも大きいのが一般的。


樹脂や金属でも例えば後者のシート材は異方性がありますが、
FRPと比較するとやはり小さいことが多い(すべてではありません)。

つまり、


Material / Process / Prototype といった概要


を伝えるよりも先に


他業界では一般的ではない異方性についてきちんと伝える


ということが何より最優先です。

 

どのようにして 異方性 を理解してもらうか

ここは材料データと試作した平板ではないでしょうか。


材料データというとT11/E11とBending(曲げ)が出ているケースが多いですが、
T11/E11は有効な一方で、曲げデータはほとんど参考になりません。

曲げ試験は設計データには使えないということはISOにも明記されている事実です。


異方性を表現するのに曲げ試験のような複数モードの荷重をかけている時点で明らかにおかしい。


曲げでは異方性をきちんと表現することができないのです。


ここはT22/E22(90°引張)、S12/G12(面内せん断)、C11/Ec11(圧縮)といった異方性を表現する重要なデータに加え、S13/G13(層間せん断)、T33/E33(層間引張)といった面内と層間の違いも理解してもらうデータ必要です。


これらの強度や弾性率を見た時に、初めて他業界の設計者は、


「なるほど、FRPというのはこのような異方性を有する材料なのだ」


と理解することができます。


まずは色々ある情報の中で上記のデータに基づいた異方性を理解してもらう。


これこそがすべての始まりではないでしょうか。

 

その上で意図的に異方性を有する平板などを作り、それを触ってもらうというのも大切なアプローチです。

実際に自分の手で触ることで異方性をより直感的に感じてもらうことができます。

 

FRPの適用拡大に向けて


異方性に関する知見は材料メーカだけが理解し、それを提示すればいい、
というのも違います。


結局この異方性がCAE、裁断、積層、成形、加工、検査といったあらゆる後工程に影響を与えてくるからです。


つまり材料の異方性に関する説明はFRPに関連する企業である以上、
川上から川下のどこに属していたとしてもできなくてはいけません。

異方性の理解が第一歩であり、その理解こそが最優先である、
ということを世界中のFRP関連業界の企業や研究機関が理解することこそ、
FRPが適材適所で使われ、またその適用範囲が広がっていく最短のアプローチなのではないでしょうか。

 

FRPに関連する事業を展開する企業の皆様においては、
今一度発信している情報が他業界の設計者が理解できる内容になっているかをご確認いただければと思います。

 

戦略検討のご参考になれば幸いです。


 

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