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地中熱空調システム へのFRP適用

2017-09-29

今日のコラムでは 地中熱空調システム FRP適用ということについてご紹介してみたいと思います。

 

2日ほど前の日経新聞に載っていましたが、

「地中熱で空調 工費半分」

という題目で、FRPを用いた新たな地中熱空調システムについて述べられています。


日経新聞のリリースは以下に電子版も出ていました。

https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21560890W7A920C1LB0000/


建設資材製造のホクコン(福井市)とコンサルタントのエコ・プランナー(同市)の協力で実現したようです。

ホクコンのHPは以下の所で見ることができます。
https://www.hokukon.co.jp/


主な事業を見てみると以下のように書かれていることから、
インフラや住宅といった、土木、建築に関する製品、サービスを提供している企業のようです。

———
水環境、都市環境、道路環境、宅地環境に関する21世紀の環境 ソリューションの提案
環境配慮型システム・コンクリート二次製品の開発、設計、製造、販売、施工
環境配慮型システム・コンクリート二次製品に関する工業所有権、ノウハウの開発、販売(製造業・コンクリート二次製品の企画設計開発・製造・販売・施工・メンテナンス)
———
( 参照URL: https://www.hokukon.co.jp/company/index.html )

 

今回の記事はFRPの新たな展開としても非常に興味深いと考えます。

なぜならば、FRPが培ってきた機能性を十分に尊重しながら、
新たな機能性発現を提唱できている、
という優れた設計コンセプトが基本にあるためです。

 

地中熱空調システムの概要と課題


そもそも「地中熱」とは何でしょうか。

あまり馴染みが無い言葉かもしれません。


地中熱は、

地表から10?200m程度の地中温度が季節に依らずほぼ一定の温度である

ということを踏まえ、これをエネルギー資源として捉えた言葉のようです。


夏は涼しく、冬は暖かいということですね。

地中熱を用いた空調システムは特に真新しいものではなく20年以上の歴史があり、
東京スカイツリーのような著名な建築物、
地域的にいうと北海道は全国の3割程度累積導入量を誇るようです。

( 参照URL: http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1402/07/news107.html


自然エネルギーを活用したシステムであるため消費電力削減に多大な貢献ができる一方欠点もあるようで、
上記の参照URLの中にも書かれていますが非常に費用が高いことが最大の欠点のようです。


コスト高の主因は穴を掘る、いわゆるボーリング費用。


確かに私の知り合いの農家の方が井戸を掘る際、
その費用が数百万単位になった、
ということを聴いて驚いたことがあります。

そのくらい、深い穴を掘るというのは手間と費用がかかるのだと思います。


尚、冒頭の日経の記事によると、延べ床面積1000弊方メートルの事務所に対応する地中熱空調システム構築には3000万円以上の初期投資が必要とのこと。

 

地中熱空調システムは素晴らしいことはわかるが、初期投資が問題である。

これが該システム最大の問題だったということになりそうです。

 

地中熱空調システムへのFRPの適用

今回紹介されているFRPを用いた地中熱空調システム最大の特徴は、


地中交換機を中空のFRP容器で作り、その容器も交換機として機能させる


という考え方です。


一般的には穴を掘った後は水や不凍液を媒体とした管を通じて循環させるため、
径が細いため交換効率が高くないため、穴を深くすることで熱交換面積を稼ぐ必要があったようです。


その一方、今回のシステムは地中にFRPタンクを設置し、
その中に熱媒体を満たすことで熱交換面積を稼ぎ、
穴を掘る深さを大幅に削減することで、
初期費用の圧縮が可能になった、というのが大筋とのこと。

この辺りの話は以下の所に書かれています。

http://www2.pref.fukui.lg.jp/press/atfiles/paa81495607016I7.pdf


FRPに熱交換効率を高めるための機能を持たせようという発想が素晴らしいです。

結果として地中熱空調システム最大の課題である初期費用の削減への解決、または改善の道筋を示せていることがお分かりになると思います。

 

用いられているFRPは

ここで材料について少し見てみたいと思います。

詳細はかかれていないので何とも言えませんが、
恐らくここで用いられているFRPは、
ガラス繊維強化の不飽和ポリエステル系マトリックスのFRPであると考えます。


実はFRPの歴史はガラス繊維強化プラスチック、いわゆるGFRPで始まり、
今も市場で活躍しているといっても過言ではありません。


一般的にFRPというと実はCFRPよりもGFRPをイメージされる方の方が多いはずです。


そしてここで用いられているFRPの交換機の成形技術は、
管更生の技術から来ていると考えます。


管更生については以前、以下のコラムで述べたことがありますので合わせてご覧ください(以下をクリックすると記事に移動します)。

水道管 の更新へのFRP適用

冒頭の日経の記事によると、

「常温で固まる長い筒状のFRPを冷やして落とし込み、水を入れてFRPを膨らませて穴の内壁に密着させると2日ほどで硬化する」

と書かれています。


最初に冷やすのはマトリックスが未硬化状態だと室温で柔らかいため、
ある程度の硬さを持たすために冷却し、
後から水を入れて内圧をかけ、室温硬化システムのマトリックス樹脂の硬化により、
穴の内壁に沿った形で賦形されたものと考えます(もしかするとお湯を通すなど、少し熱をかけているかもしれません)。

そして内圧で変形した時にその変形に追従できるよう、
FRP側、特に基材(ガラス繊維)のドレープ性を基本とした形状追従性を維持するための設計をするなど、
材料と基材設計にノウハウが入れられていると推測します。


この辺りは今回取り組んだホクコンやエコ・プランナー、
協力する福井大学や福井県工業技術センターの知見が盛り込まれているのだと思います。

 

 

いかがでしたでしょうか。


今回のFRPの活用法は、FRPに新たな機能性を持たせることを提案した非常に興味深いアプローチであると考えます。


日々の生活に必要、かつ身近な製品であるインフラや住宅。


このような所で用いられているFRPに今一度目を向け、
従来技術を上手く活用しながらも新たな展開を目指す上記のような取り組みも、
FRP業界にとって重要であると考えます。

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