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GFRPに近い将来求められる リサイクル

2017-04-19

先日の新聞記事に Sustainable Development Goals 、略してSDGsということがかかれていました。
国連で選定された新しいテーマとのこと。

新聞記事で書かれていた導入部分を読むと、
社会問題や地球環境の危機に対し企業はビジネスで応えられないか、
というのが根底にあるようです。

SDGsが取り組んでいるテーマは、貧困、健康、教育、性別、水、エネルギー、平和といった多岐にわたるもので全部で17つあります。
これらがどのようなものなのかは以下のHPをご覧いただくのがいいと思います。

http://www.un.org/sustainabledevelopment/sustainable-development-goals/

 

FRP業界が将来直面する課題


さて、上記の流れはFRP業界にとっても実は他人ごとではありません。

先進材料といわれているものの、
大量適用ではまだ道半ばである炭素繊維を使ったCFRPは喫緊の課題では無いかもしれませんが、
ある程度実用の適用が進んでいるガラス繊維を使ったGFRPにとっては近いうち直面するある課題があります。


それが、

「寿命を迎えた材料の取り扱い」

です。

GFRPは比較的早い段階から貯水槽、トイレ、浴槽、風力発電、インフラなどに使われてきました。
風力発電を一例にするとちょうど今から30年ほど前からFRPが使われはじめ、
それらの材料が徐々に寿命を迎えつつある、ということは国内外で聴かれる事実です。

30年という寿命設計が本当に適切かということについては技術者、研究者として考えなくてはいけない部分ですが、
少なくとも30年利用ということを前提に作られたものが寿命を迎えつつあることは現実ととらえなくてはいけません。


しかも、30年前から現在にわたりGFRPの適用が加速度的に進んだため、
そのままの勾配で寿命を迎える製品が増えてくるということになります。


このような近いうち訪れるFRP業界の状況を踏まえると、
GFRPのライフサイクルアセスメントというのは一つの重要なキーワードになると思います。

その中でも材料のリサイクルというのは一つの大きなポイントとなるでしょう。


今日のコラムではGFRPを例にFRPのリサイクルについて考えてみたいと思います。

 

GFRPリサイクルの現状

GFRPに限らず材料のリサイクルは大きく分けると

– サーマルリサイクル
– マテリアルリサイクル

の2つがあると考えています。


前者は材料を燃やすことで燃料としてエネルギーを回収し、例えば発電を行う、暖房に使う、給湯につかう、
といったことが一例です。


そして多くの方がイメージされるリサイクルはやはり後者のマテリアルリサイクルだと思います。


日本は比較的早くからこの課題に取り組んでおり、
以前以下の成形加工学会の話をご紹介したこともあります。

http://www.jrps.or.jp/frpcenter/st1_genjyou.html


このリサイクル方法はFRP製船舶などを回収の上で粉砕。
その粉砕したものをフィラーとしてセメントなどに混ぜるというものです。

材料をダウングレードして用いるという考え方はリサイクルコンセプトの基本の一つともいわれています。


連続繊維を長繊維(50mm以下)として再利用する。
長繊維(50mm以下)を短繊維(3mm以下)として再利用する。
短繊維(3mm以下)をフィラーとして再利用する。

上記のお話もその一例です。

 

GFRPリサイクル研究の最先端

上記では一般論をお話ししましたが、
やはりせっかくの繊維を何とかしてそのまま再利用できないか、
という葛藤があるのも事実。

そのような課題に向かい、研究が行われている事例もあります。

Strathclyde University (https://www.strath.ac.uk/)では、ReCoVeR(Regenerated Composite Value Reinforcement)というコンセプトで、ガラス繊維の物性を落とすことなくガラス繊維だけをGFRPから抽出する研究を行っています。

経験則的に300℃以上の高温をかけるとガラス繊維の物性が大きく低下することが知られており、
本物性低下のメカニズム解明とそこで得られた知見を基本としてガラス繊維の物性を落とさない処理方法を構築しよう、
というのが研究の大枠のようです。


この研究ではHF(フッ化水素)、HCl、NaOH、熱処理、といった薬品や処理を組み合わせて実施。

HFを使うとガラス繊維の表面が平滑になり、物性の低下が抑えられることがわかったとのこと。

技術的観点だけでなく、ビジネス性の観点からも高価なHFを用いないことを目指して評価し、
結果的に熱処理とNaOHを用いた処理で同等の繊維表面状況の実現、
そしてGFRPとして再利用した時に60%以上の強度回復を示したと述べられました。

この時のGFRPは繊維長が20mm程度のものですので、連続繊維ではありません。
またマトリックス樹脂はPPです。


上記のやり方はまだ産業レベルにはありませんが、
アプローチとしては非常に興味深く、
またマテリアルサイクルとしても理想的な使い方といえます。


もちろん課題もあります。

上記の通り強酸、強塩基を用いると廃液がでます。
熱処理にも多量のエネルギーが必要になはずです。

これらも含めてトータルとしてのリサイクルシステムが成立するのか、
というところが肝要であると考えます。

 

炭素繊維を用いたCFRPのリサイクルはどうか

本議題は色々なところで聴かれるテーマの一つです。
当然ながら炭素繊維強化プラスチック、つまりCFRPは繊維が高価であるため材料単価も高い。
これがリサイクルビジネスのモチベーションになるのではないか、
という話です。

私が以前参加していた国際会議でも同じような議論になりました。

結論はまだ見えていませんが、
私の個人的な考えとして炭素繊維は世の中に出回っている量が少なすぎる、
というのがポイントと考えています。

さらに適用の時期としてもGFRPよりも遅く、
寿命設計も30年以上で設定しているものもあり、
そもそも再利用を必要とされる材料があまり出てこないと思うのです。


リサイクル事業の成立性というものは何で担保されるのかというのは各社の考え、
さらに言うと各個人の考えがあると思いますが、
商材がある程度出回っているということは極めて大切な指標の一つであると私は考えます。

CFRPのリサイクルに取り組むことの重要性に疑いの余地はありません。

ただし、GFRPとCFRPのどちらが優先順位として高いのか、
といわれると私は現段階ではGFRPではないか、と答えると思います。

 

いずれにしてもこのような議論がFRP業界で闊達化し、
FRPという材料が持続可能な世の中に認知される材料になるよう、
私個人も努力する必要があると思います。


適用を拡大することで業界を底上げすることはもちろんですが、
その後のことまで先回りするという遠くを見る姿勢が重要なのではないでしょうか。

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