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FRPの 自動車適用 に関する議論について

2016-05-02

本日の FRP 戦略コラム では、FRPの 自動車適用 に関する議論について 今一度考えてみたいと思います。

 

SAMPE の機関誌を読んでいて気がついたことですが 自動車 へのFRP適用議論が始まってそれなりの時間が経ったのだな、と考えることが多くなりました。

それでもなかなか適用自体が進まないのが現状のようです。


該機関誌でも航空機に使われてきたFRPを自動車へ転用するためには、という話が述べられています。

そこで述べらていたことを以下に羅列してみます。

 

1.ボリュームの違い

航空機は性能重視でボリューム(使用量)は基本的に少ないのに対し、自動車は大量生産が前提となっている。
この生産量に対する産業界の意識違いを認識することの必要性がある。


2.モデルチェンジの速さ

長年同じ形状で運用される航空機と違い、自動車は数年単位でモデルチェンジが行われるスピーディーな業界である。
これらの時間軸に対する考え方の違いも認識する必要がある。

シミュレーション技術(CAE)、試作レス評価などはこれらへの対応の一助となると考える。


3.材料認定の簡略化と迅速化

航空機では長い時間かけて行われている材料認定をもう少し簡略化することが必要だろう。
これにより、自動車のように要件変更が高頻度で行われる動きの速い業界への適用が可能となると考える。


4.近年の自動車への適用アプローチ

BMW i seriesをはじめ、HP-RTM、LFT( Long fiber thermoplastics )、LGT ( Lofted glass thermoplastics )といったコンセプトカーや材料の登場がFRPの自動車業界への転用を後押ししている。
 

 


これらの論点から何を考えるべきでしょうか。


今回の記事に限らずですが、世界中においてFRPを自動車業界に適用するにあたって欠けている議論は、

 

「FRP設計思想の徹底」

 

というところです。


そして設計といえば構造設計、機械強度評価、CAEといった局所論ではなく、

 

「そもそもなぜFRPを自動車に適用しなければならないのか」

 

というコンセプト議論が徹底されるということが最重要です。

 

FRPを航空機に用いたのには高価な材料だからというのもありますが、


「航空機にFRPを用いるぶれないコンセプトがある」


ということです。


言い換えると、


「航空機にFRPを使うということによる商品価値の上昇に明確な効果がある」


ということなのです。

 

航空機の飛行能力は搭載するエンジンの推力にすべて支配されます。


つまり、搭載するエンジンを決めた時点で空に飛ばせる重さというのが決まってしまいます。


同じ大きさで機体の重量を1キロ軽くできれば、その分燃料を積載する、乗客を乗せる、荷物を載せるといった商品への付加価値へ直結させることができるのです。


航空機の商品価値のうち最も重要なのは、積載容量と航続距離です。


このどちらか(または両方)に好影響を与える「軽量化」という技術がいかに重要かわかるのではないでしょうか。


これこそがFRPを適用する必要性があるというコンセプトであり、これを考えるのが設計者です。

 


その一方で自動車はどうでしょうか。

 

一例として軽量化は燃費に影響を与えるといいますが、燃費を大幅に改善させる方法としては軽量化よりもむしろ日本が得意とするハイブリット技術やエンジン制御技術のほうが場合によっては効果的な場合があります。

多くの選択肢から素材費の高さもさることながら、使い方もよくわからないFRPをあえて使う理由は何なのか。

このコンセプト確認の問いに対して明確に答えることが時に難しい、というのが自動車業界の難しさなのかもしれません。

 


自動車業界の最前線の方にお話をうかがうと、きちんと理解されている方ほど本論点に苦労されているということが実感としてあります。

その一方で上述のSAMPEの記事で最も共感できたのが、


3.材料認定の簡略化と迅速化


というところです。

公的規格の存在しないFRPの課題をきちんと踏まえているところは評価すべきです。


ただし、認定を簡略化する、迅速化するということに重きを置きすぎることは、特に適用初期の段階において私は反対です。

 

FRPで公的認定材料として認められているものもいくつかはありますが、
これらが公的規格として認められたのには長期間にわたる実績と明確な材料データがあっての話です。

(実際、FRPの公的規格のものについては、A値、B値といった非破壊確率99%、90%の設計許容値まで公開されています)


FRPの設計許容値を決めることは基本はシンプルですがこの基本を理解していないと材料の特性と限界を無視した危険な使い方をしてしまう恐れもあります。

自動車業界においてもFRP材料に関する設計許容設定がきちんとできるようになるまではある程度のレベルの材料認定取得を義務付けることが必要ではないでしょうか。

 

もし万が一、FRPが原因で事故などが起こってしまってはFRPに関する信頼が失墜するのはもちろん、

何よりユーザーとなるお客様の安全をおびやかすという絶対に避けなくてはならない最悪の事態

に直結します。


技術は人命尊重あって存在できるということは忘れてはいけません。

 

もし本記事をご覧の方々の中で自動車適用について関係される方、ご興味ある方がいらっしゃるようでしたら、今一度足元を見直してみてはいかがでしょうか。

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