FRP業界での活躍を目指す企業のコンサルティングパートナー

はじめてのFRP 高強度、高剛性の 基礎

2015-12-30

本日のコラムではFRP 基礎 コラムである「はじめてのFRP」として、FRPの最大の特徴である高強度、高剛性を発現するために最も重要な点について振り返ってみたいと思います。

 


高性能材料のCFRPだけではなく、従来から多く使われてきたGFRPも含め、軽量、高強度のキーワードでさらなる適用拡大が期待されるFRP。


しかし突き詰めていった時に、

 

「FRPが本来の特性である高強度、高剛性を発現するためには何が重要なのか」

 

という根本議論が軽視されることがあります。


多くの材料や成形加工技術、アプリケーションが増えてきているために見えにくくなっているということがあるのかもしれません。


しかしその一方で、この高強度、高剛性の根幹について確認することはこの業界での事業を成功させるときのカギともいえます。

 


結論から先に言うと、繊維と樹脂の複合材料であるFRPの強度や剛性を発現させるために必要な最重要要素は、

 

「繊維に対して樹脂が含浸していること」

 

です。

 


私のセミナーで必ず聴講者の皆様に問いかけることとして、

「複合材料(Composite)とは何ですか」

というものがあります。

 


最近の聴講者の方々の中には本コラムをご覧いただいている方も増えてきたこともあり、
お答えいただけるケースも少しずつ出てきましたが、
8割くらいの聴講者の方々にとっては「複合材料」と「FRP」の意味の差からしてあいまいな場合があります。

 


これの主因は、このような基礎情報を得られる媒体が少ないということがあるのではないでしょうか。

 

複合材料というのは、


– 物理的に分離できる2種類以上のものの混合物である

– 混合された素材の特性を助長/改善する、またはそれぞれに無い特性を発現させる


という特性と目的で設計される材料です。

 

やみくもに混ぜているわけでは無いのです。

 

「より”良くした”ものを作りたい」ために、あえて異なる2種類以上のものを混ぜているのです。

 

FRPというのは複合材料のうち、繊維と樹脂を混ぜたもののことを指します。


つまりFRPは複合材料という集合体の一部です。

このような材料の根本的なコンセプトを仕事の合間に思い出すことで、日々の業務の主軸がぶれることがなくなるのではないでしょうか。

 


そして本日の議題に対する結論「繊維に対して樹脂が含浸していること」に到達するためのお話をします。


企業様におけるセミナーや、セミナー業者様で行うセミナーで私がよく使う、以下のスライドがあります。

無題

( The image above is licensed by FRP consultant. )


これは、強化繊維とマトリックス樹脂の大まかな役割の違いについて述べたものです。

厳密には両者に関わる部分もありますが、あくまで大まかに分けると、というお話です。

ポイントは2点。


– 最終破断強度は強化繊維が担う

– マトリックス樹脂は応力伝達を担う

強化繊維は最終的に部材が破壊されるその最後の時まで踏ん張るのが使命です。


マトリックス樹脂はその踏ん張る繊維に力を伝える媒体としての役割が重要です。

外から加わった力がマトリックス樹脂を通じてどれだけ繊維に伝えることができるのかが勝負なのです。


そしてこの繊維への応力伝達をきちんと行うには、


「繊維に対して樹脂が含浸していること」


がとても重要になるのです。

 

一例としてRTM。


ドレープ性などの課題を克服し、繊維基材(樹脂が未含浸)のプリフォームができたという前提であれば、樹脂を後から含浸させるため複雑形状の賦形も可能な重要技術の一つです。

加えて、「厚物」の成形が比較的短時間でできるというのが売りの一つでもあります。


ところが、ここで最大の課題として頻繁に挙げられるのが、


「樹脂を後から含浸させる形式で繊維へ樹脂は含浸できるのか(特に厚物)」


というものです。

 

ここでいう含浸できたかどうかという論点は「ボイドができている」といったわかりやすい「点の話」ではなく、「数ミクロンというスケールの繊維の奥までマクロ的に樹脂が入り込んでいるか」という「面の話」です。

 

 

繊維へ樹脂が含浸されているものは、樹脂を繊維に含浸させる段階で低粘度状態の樹脂をローラーで押し付ける(ダブルベルトなど)手法が一般的です。

一層一層が薄い段階で樹脂を強制的に押し付けて含浸させるため、繊維への樹脂含浸性が非常に高い。

 

そのため今でもFRPの業界ではプリプレグに対する信頼が非常に厚いのです。

 

根本にある思考は、


「繊維に対する樹脂の予備含浸が高い品質で行われている」


というものです。

 

FRP材料をきちんと扱えるFRP設計者ほど繊維の樹脂に対する含浸性(含浸状態)を非常に気にします。

形を作れるのかという以前の議論だからです。

この含浸性に加え、繊維と樹脂の界面接着性という評価も重要ですがこの話はまた別の「はじめてのFRP」のコラムでご紹介したいと思います。

 


FRPが複合材料としての機能を発現させるために重要な繊維への樹脂の含浸。

改めて日々のお仕事の振り返りのきっかけになれば幸いです。

 

にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ

Copyright(c) 2022 FRP consultant corporation All Rights Reserved.
-->