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FRP戦略コラム – CFRPでの ビジネス

2015-12-23

FRPコンサルタントとして活動をしていると、多くの企業の方とお話をする機会を持つことができます。


私とトータルコンサルティングを念頭に長期契約を結ぶお客様は大きく分けて2通りいらっしゃいます。


1つはFRP業界、特にCFRP業界に新規参入する企業。


もう一つはFRP業界、特にCFRP業界で既に活躍されている企業。

 

どちらの企業も方々も、FRPの中でもやはり高機能材料として注目されているCFRP(炭素繊維強化)に注目されているケースがほとんどです。

しかしながら特に新規参入の企業の方々に共通して盲点となっていることが2つあります。

 


まず1点目は、

「現状、CFRPは従来材料のように大量生産の薄利多売の考え方は通用しにくい」

という点です。

 

今後もずっとそのようになるのかどうか、ということについてはわかりません。


あくまで「現状では」上記のことが事実であると考えるべきです。

炭素繊維そのものが非常に高価であることが主因の一つです。

素材費が高い以上、どれだけ製造方法を工夫したところで、価格の限界は見えてきます。

この価格の限界が見えた時、廉価な従来材料と比較し、


「なぜCFRPを使わなければならないのか」


という誰もが考える疑問に対して答えられなくなってしまうのではないでしょうか。

この辺りは新規参入の企業の方だけでなく、CFRP業界ではそれなりの実績を上げている企業の方であっても大なり小なり類似のジレンマを抱えているようです。

 

そしてもう1点。

 

それは、

「材料、製造、設計、品質といった各ものづくり要素を幅広く理解している人間がCFRP活用には必須である」

というものです。

 

日本はこれまでそれぞれの業界での分業により、技術力をベースに世界でもまれな経済発展を遂げてきました。


この事実に対して疑問を呈する方は恐らくいないと思います。

ただしCFRPに限ってしまうとこの考え方が通用しないのです。

CFRPを活用するには最低でも以下のようなものに関する「概要的知見(専門家レベルではなくとも、実務担当者と議論ができるレベル)」を有している必要があります。


– 異方性、材料構成、マトリックス樹脂の化学的特性、材料の物理機械特性や設計許容値設定といった「CFRP」材料に関する知見

– 粘弾性特性、比熱、線膨張、硬化反応、加工、積層、裁断、プレス荷重設定、金型や設備設計といった「製造工程」に関する知見

– 公差設定、幾何公差、非破壊検査要件、FEMでのメッシング方法と拘束条件設定といった「設計」に関する知見

– 超音波探傷、三次元測定、品質文書管理と運用、出荷後の安全性モニタリングといった「品質・検査」に関する知見


非常に広いという印象を持たれた方が多いのではないでしょうか。


このような包括的な知見を持って初めて、


「CFRPの適用動機となる”機能性”の議論」


ができるようになるのです。

機能性を主軸においた議論こそCFRP製品の”コンセプト”であり、これが材料単価が高いという一般思考を超えた”付加価値によるビジネスの構築”へとつながっていくのです。


これからも顧問先を初めとしたお客様に対しては、このような概要的知見の補てんをもってビジネスの拡大の観点で貢献したいと思います。


 

 


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