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CO2 を活用する欧州産業開発動向

2015-12-14

12月12日まで続いたCOP21の会議。

http://www.cop21.gouv.fr/en/

 

「京都議定書」以来となる「パリ協定」の採択で幕を閉じました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151213/k10010339621000.html


COP21 の名称は United Nations Conference on Climate Change です。

地球温暖化を初めとした気候変動をどのようにして抑えるかということについて議論される国際会議ですね。

マスコミでも度々報道されている非常に大きな会議です。


ここで話し合われる主な議題の一つが、


「温室効果ガスの一つである二酸化炭素 CO2 の排出量」


であることに疑いの余地はありません。

気温上昇を食い止めるために制限される二酸化炭素排出制限を先進国だけでなく、新興国や途上国にも課すということについて、途上国側からは既に排出をしていた国々から制限されるのは不当だという不平が出ている一方、先進国や新興国の間でも足並みがそろわないという非常に難しい状況が続いています。

 

そんな中、別の動きがあることは意外にも知られていません。


それが、


「二酸化炭素 CO2 を消費する技術の研究開発」


というテーマです。


カーボンオフセットの一つという考え方もできます。

一つ注意として、二酸化炭素は温室ガスとしての効果はそれほど高くないということはあまり知られていません。


こちらの記事でも述べましたが、以下のことも事実です。

——(以下、引用)

地球温暖化係数であらわされる、その気体の大気中における濃度あたりの温室効果の100年間の強さを比較した地球温暖化係数をみてみると、二酸化炭素が1の場合、メタンは21。フロンガスの一種であるフロン23のトリフルオロメタンにいたっては11700です。

——(引用ここまで)


話を元に戻します。


上記で述べた二酸化炭素排出対策については、2015年5月の European Business Summit で Climate-KIC が4年間で1億ユーロの予算をつけて、欧州各地の大学、研究機関、企業で進められている話です。

european_business_summit
( The image above is referred from http://agenda.euractiv.com/events/european-business-summit-126054 )


以下のページを見ていただければわかりますが、主要な議題のうちの一つに挙げられています。


主要議題一覧

– Sustainable urban environments

– Climate-friendly homes and offices

– Exploiting CO2 as a resource

– Catastrophe models for the finance industry

Referenced URL:
http://www.climate-kic.org/news/climate-kic-to-unveil-e100-million-investment-in-four-new-flagship-programmes-at-european-business-summit/

 

そしてこの話を実働部隊として先導しているのが当時の Bayer 、今の Covestro です。

Covestro発足の経緯は以下の日本語のページで読むことができます。

http://www.covestro.jp/ja-JP/Media/NewsOverview/2015/New-name-of-Bayer-MaterialScience.aspx


既に Covestro は二酸化炭素を利用する発砲材料の開発に成功し、来年にも上市すると述べています。

http://presse.covestro.de/news.nsf/id/CO2-as-raw-material-topic-at-the-Climate-Summit


European Business Summit からわずか1年半ということを考えると、
かなりのスピードで開発が進められたことがわかります。

この辺りは欧州の英知を結集させた成果なのかもしれません。

 

そしてなぜこの話を本コラムでご紹介したのかというと、上記の Covestro の中でも書かれているように、


「二酸化炭素を利用する人工繊維の開発」


というものが新たにターゲットとされているためです。


当然ながらここでいう人工繊維としては、FRPの原料である炭素繊維や、ガラス繊維、各種有機繊維(アラミド、ナイロンなど)もその対象となりえます。


日本も何もしていないわけではありません。

現状よりもより高効率で炭素繊維を作れないか、ということで、


「革新炭素繊維基盤技術開発」


という国プロが2013年から7年計画で動いていることは知られています。

http://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000H25/140217_kakusin2/140217__kakusin2.htm

 


ただし、今回の欧州の取り組みは炭素繊維で世界を圧巻する日本繊維メーカーのビジネスに影響を与える可能性があるのではないか、と私は考えています。


環境アセスメントという文言の元、炭素繊維製造にどのくらいの二酸化炭素を使用しているか、または排出しているか、という点が重要視され、場合によっては欧州で販売するにあたっては罰金を上乗せする、といったことを行うことで価格競争力を大きく阻害される恐れがあります。

 

2019年に始まる自動車の排出ガス規制、またこれとは別に導入が予定されている航空機の排出ガス規制というものはFRP拡大にはかなりの追い風というべきです。


その一方で、

「二酸化炭素を活用する」

という取り組みをしていないことにより、不利になる状況も想定されてきています。

 

化学素材技術レベルが非常に高い日本はこのような事態に早めに備え、FRPや基礎となる高分子の開発を進めることが重要かもしれません。

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