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FRP戦略コラム – FRP製品拡大に必須の FRP設計者

2015-10-02

今日のFRP戦略コラムでは、業界に必須と考える「 FRP設計者 」というものについて考えてみたいと思います。

 


FRP設計者 と聞いてどのような姿を思い浮かべるでしょうか。

 

多くの方々がCATIAやCADを使って図面を書く人を描くのではないでしょうか。

 

もちろん、それも設計者のスキルかもしれませんが、一面でしかありません。

 

業界に必須とされる設計者は、


「従来産業の”分業”という境界をまたいで広い視野で全体を見られる人物」


であると考えます。

 

例えば、図面を書くということ。


これができるに越したことはありませんが、CATIAなどのソフトはその使用に習熟した方々が社内や社外にいますので、その方に依頼するということも一案です。

 

しかし、どのように図面を構築していくのか、具体的には形状設計、公差設定、欠陥許容、積層配向を考え、それを決めていく、ということは設計者しかできません。

 

つまり、CATIAなどのソフトを使える人をきちんと指示できることの方が重要です。

合わせて、図面の内容を確認できることも必要です。

 


実際の工程構築も必須のスキルです。


材料裁断、レイアップ、成形、トリミング、検査


この5大要素をきちんと把握し、全体を見ているかどうか。

 

詳細技術は担当者と議論しながら進めれば良い話ですが、上記5要素がFRPの成形加工には必須であることを忘れてはいけません。


この後工程を考慮しながら正確な図面を設計することも設計者に必要なスキルです。

 

 

CAEについても必要でしょう。

メッシングはソリッドなのか、スキンなのか、それともそれぞれ適材適所で変えるのか。

拘束条件は実際の条件をきちんと模擬できているのか。

FRP固有の異方性が設定されているか。

生じる応力分布は実測と十分に合うだけの精度を確保できているのか。

極めて高い応力が立つような形状になっていないか。


CAEの結果が実測と相関が取れている、ということを十分に確認するという前提に基づき、
形状に関する問題を確認するということが重要です。

ここでも、CAEの結果を確認できることは重要ですが、
メッシングなどの解析実務はCAEの習熟者に任せるというスタンスで問題ありません。

 

では、材料はどうでしょうか。

熱硬化性、熱可塑性マトリックス樹脂のそれぞれの特徴を理解し、
ガラス転移温度、粘度変化、結晶化度、硬化度、硬化収縮、線膨張、耐環境性といった、
マトリックス樹脂に由来する化学的特性をきちんと把握した上で、
材料選定ができるか。


設計許容値を算出するために必要な、静的試験、動的試験を設計できるか。

行う試験は、引張、せん断、曲げなどをきちんと検討しているか。

面内だけでなく、層間の試験は行えているか。

動的試験である疲労試験では応力比を考えているか。


また、得られたデータの概要を把握し、設計許容値を決めるための方針を立てられるのか。

材料の詳細や試験の実施は担当者に任せればいいのですが、
熱可塑と熱硬化の特徴をきちんと把握し、
必要な試験項目の選定ができることは重要です。

 


加えて、品質です。

納入されるべき材料の特性概要を把握し、材料規格を設計できるか。

安定して製品を製造するために必須の設備パラメータ管理と工程管理の概要を把握できているか。

それも踏まえて図面は作られているか、ということを確認できているか。

ここでも詳細業務は任せるにしても、
工程の概要は把握した上で工程能力指数の意味するものを理解し、
実測データの分布を確認できる視点が重要です。

 

最後に、マーケットに関する視点です。

エンドユーザーであるお客様の視点は考慮しているか。

市場にニーズはあるのか。


利益率を確保するために必要な「機能性」が発現できているか。

コスト競争に巻き込まれるような価格設定になっていないか。

詳細は担当者でいいのですが、業界動向を自らの目で把握し、
技術だけでなくマーケットの視点を持ちながら、
営業部門に歩み寄るという柔軟な姿勢も必要です。

 

 

いかがでしょうか。


FRPをものにして世に送り出すためには、上記のことを

「把握している設計者」

の存在が必須です。

把握していればいいのです。

 

技術者に多いのですが、すべて実務までできなければならない、というのは無理があります。

各領域の仕事の詳細部分は、各領域の方々に任せればいいのです。
必要に応じて詳細部分は担当者から情報を吸い上げ、
理解すればいいと考えます。


それよりも、


「大まかな方針を示す」


という高い視点での考えの方がはるかに重要です。

 


自分はここはできているが、ここはできていない。

というところが無かったでしょうか。

できているところとできていないところがある時点で、
従来型の「分業」が行われていることが示唆されています。


これは社内でもそうですが、企業そのものが分業の一部しかになっていない、
という場合が多いと考えます。

そのため理想的には上記のことが重要だとわかっていても、
なかなかそのようにならない、そのようにできないというケースが多いと考えます。

 

それでも日々の業務で、どこか自分の軸足を決めた上でそこは深め、
その周辺業務である「すそ野」を広げる、
というキャリア設計プランを立てられるような設計者こそこの業界には必要であると考えます。


ご参考になれば幸いです。

 

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