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SOLARIMPULSE の幅広い主翼を支えるFRP

2015-07-03

太陽電池とリチウムイオンバッテリー、そして電動モーターで駆動するプロペラ。


クリーンエナジーをエネルギー源として、世界で初めて世界一周を目指している SOLARIMPULSE 。

2015年3月にアラブ首長国連邦を出発して約4か月。

6月末には日本の名古屋に一時寄港し、7月3日現在ハワイを目指して飛行しています。以下のホームページでは、 LIVE での無線音声をきいたり、コックピットの外からの映像を見ることもできます。


http://www.solarimpulse.com/leg-8-from-Nagoya-to-Hawaii

 


SOLAIMPLUSE のHPによると、太陽電池には単結晶シリコンを使用し、最大発電量が340kWh、17000以上のセル数、そして発電効率は23%。
またリチウムイオン電池は総重量が633kgでエネルギー密度:260Wh/kg、エンジン馬力で17.5馬力相当のモーターが左右の主翼に2つずつ取り付けられています。


巡航速度は車が国道を走る45km/hが最低速度で、最高90km/hです。


電力の削減を目的に太陽の出ている昼間のうちに高度を8500mまで上げ、
夜になると1500mまで降下することでグライダーとしての性能を活用するなど、
飛行プログラムにも工夫が凝らされています。


そして空力性能を最大限引き出すため、翼の幅は72mもありB747よりも広くなっています。


乗員は1名で、睡眠等を含めすべて狭いコックピットで完結させるため、
5日を超える連続フライトに耐えられるか、地上での入念な人体試験を実施していたようです。

 

この辺りの情報は以下の所に書かれています。


http://info.solarimpulse.com/en/our-adventure/building-a-solar-airplane/#.VZWgZLntmko

 

 


そして電動で効率よく飛ぶという目的に強度保持と軽量化を両立させるというのは不可避なミッションです。


当然ながら機体の多くにCFRPが使われています。

基本的にはCFRPとハニカムによるサンドイッチ構造のようです。


主翼は翼の上側が封入された太陽電池で覆われており(画像によると何かで補強しています)、
翼の下側は材質は不明ですが高強度で変形可能な材料で覆われている構造です。

そして羽の強度を保つのに最も重要なRibには50cm間隔でCFRPが使用されており、
72mという巨大な主翼の強度と剛性保持を可能にしています。

 

 

軽いことにより、燃料、荷物、乗客のキャパシティー増加という「輸送能力増加」につながる航空機。

軽いことにより、単位航続距離に対する消費電力量が減少し、チャージインフラの未熟な電気駆動モビリティーの「航続距離増加」につながる燃料電池車や電気自動車。


今回の記事を見ていてもわかることですが、軽量化がダイレクトに性能へ直結する業界においてFRPの存在価値はとても大きいということを改めて実感します。

 

つまり、「FRPを使うことによって得られる具体的な効果」を説明できるということがFRP適用拡大には必要な考え方となります。

 


ところがFRP業界への参入を検討されている企業の方々と話をしていると、


「そもそもなぜFRPでなければならないのか」


という根本的な質問に答えられないケースが多くみられます。

 

また意外にもFRP業界に長い間いる方々でも、


「改めて思うことだが、なぜFRPでなければならないのか」


と悩まれるケースがあります。

 


実際にFRPを取り扱う仕事をされている場合、目の前の業務に忙殺され、考えるべき要因が増えてしまい、
そもそもというコンセプトの部分を忘れてしまうケースがあります。


「そもそもなぜFRPでなければならないのか」

 

そのような問いかけをしながら定期的に自らを客観的に振り返る姿勢が重要なのかもしれません。

 

 

 

(2015年7月4日 追記)

SOLARIMPULSEは無事にハワイに到着したというニュースが飛び込んできました。また新たな歴史の1ページがめくられたような気がします。

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