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はじめてのFRP – PAN (ポリアクリロニトリル)系炭素繊維とは

2015-03-01

今日はFRPの強化繊維として使用されている代表的な繊維の一つである PAN 系炭素繊維についてご紹介します。

 

色々なところで述べられていますが、 PAN 系炭素繊維は日本が誇る高機能繊維の代表格です。


東レ、東邦テナックス(帝人)、三菱レーヨンの3社で実に世界シェア6割(情報源によっては7割というケースもあります)を誇っています。


下記の平成 24 年度 中小企業支援調査?炭素繊維複合材料の加工技術に関する実態調査? 資料中のp.5の下の公称能力をご覧ください。

http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2013fy/E003042.pdf

 

 

このPAN系炭素繊維は日本人によって生み出されました。

1961年に当時の通産省工業技術院大阪工業試験所に在籍していた進藤昭男博士(現在は(独)経済産業技術総合研究所名誉リサーチャー)がPANが焼成過程で連続六環構造を形成することを見出したのが始まりです。

 

PAN 系炭素繊維の生産量は2013年実績で年4万トン。

材料メーカーは年15%程度で需要が拡大し、東京オリンピックが開催される2020年には年生産量が12万トンを超えると予想しています。

 

この PAN 系炭素繊維の作り方ですが、初めに有機繊維であるPAN(プリカーサーとよばれます)を耐炎化処理して耐炎化繊維にし、それを1500℃?2000℃で焼成する事で高強度糸である炭素繊維、またはさらに高温の3000℃程度で焼成して高弾性の黒鉛糸にします。

http://www.carbonfiber.gr.jp/material/manufacture.html


これらの糸はマトリックス樹脂との接着性を上げるためにエッチングなどの表面処理、ある程度のフィラメントをまとめたストランドにするためのサイジング処理を行った後ボビンに巻いて炭素繊維として出荷されます。

 

 

この炭素繊維ですが今最も課題となっているものの一つが、新興企業の台頭です。


韓国の泰光産業、暁星といった企業も量産化を開始し、ロシア、サウジアラビア、オーストラリア、インド、ブラジル、台湾などでも炭素繊維の量産化計画やパイロットスケールでの設備導入が進んでいます。


中国でも国を挙げて年生産2万トンを目標に多くの企業が動いているようです。

 


本現状に対する危機感から、日本政府は「革新炭素繊維基盤技術開発」ということで、物性を落とさずに今までよりも省エネルギー、かつ低コストで作れる炭素繊維の製造技術開発に取り組んでいます。

 

2014年の11月に行われた中間報告は以下の所で見ることができます。

http://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000H25/140217_kakusin2/140217__kakusin2.htm

 


またもう一つの課題として炭素繊維を用いたFRPを素材とする商品が日本に根付かないという現状です。

日本で生産される炭素繊維のうち、日本で最終製品として活かされている重量は5%程度ともいわれ、ほとんどが素材の輸出産業となってしまっているようです。

これに対しては、「東海・北陸コンポジットハイウェイ構想」を立ち上げ、名古屋大学ナショナルコンポジットセンター、金沢工業大学確信複合材料研究開発センター、岐阜大学複合材料研究センターにて連携協定に向けた協定を調印するなど、産官学の連携を進めて商品開発までを一気通貫でやるという所を進めている模様です。

 

加えて、炭素繊維の生産量は年数万トンであることから決して規模が大きいものではなく、自動車のような巨大産業に対応できる製造キャパシティが無いのではという懸案もあります。

 


日本の PAN 系炭素繊維はこれまで世界をリードしてきましたが、
上述したような課題があることも事実です。

 


炭素繊維を用いたFRPで日本のものづくり産業の新たな飛躍に貢献できるよう、
私もクライアント様と新たなことに取り組んでいきたいと考えています。

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