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FRP戦略コラム – アッセンブリーメーカー、成形メーカーはFRP材料開発の知見は不要か

2015-01-09

FRP戦略コラムとして、FRP業界に参入を検討されている企業様向けにFRPに関する戦略を検討するにあたり、参考になると考えられる情報を不定期で掲載いたします。

 


今回のコラムのテーマは、

「アッセンブリーメーカー、成形メーカーはFRP材料開発の知見は不要か」

です。

 

一般的なスタンスとして、FRP材料を用いた部品を成形するメーカー、それらを実際に作るアッセンブリーメーカーは、

「材料は購入してくるものだ」

というスタンスが強いです。

 

特に日本は、世界的なプリプレガー(FRP材料を生産する材料メーカー)が多いため、このスタンスがより明確に根付いている印象があります。

 

FRP材料ではなく、金属材料でこのスタンスが確立されたのかもしれません。

 


材料は材料メーカー、部品を作る加工屋さんは加工メーカー、部品を組み立てて最終製品にするのはアッセンブリーメーカーといったように、明確な住み分けができています。

 


さて、テーマでもある、


「アッセンブリーメーカー、成型メーカーはFRP材料開発の知見は不要か」


という質問についてですが、私の答えは


「”FRP材料開発に関する最低限の考え方”は必要である」


です。

 

最も大きな理由は、


「FRPは、繊維、樹脂という複合の材料を組み合わせたものであり、それぞれの物性に加え、繊維配向やその形態が最終製品に与える影響が大きく、材料選定においても設計思想が必要だから」


です。

 

例えば可能な限り精度よく、ある方向だけの剛性や強度を上げたいという要求を求められる製品である場合、繊維が一方向に引きそろえられたUDプリプレグを用いた設計が求められますが、ある程度の厚みがあって異方性が無いことが求められるのであればランダム配向のマット材(既に積層されているもの)が適しています。


これらは、アッセンブリーメーカーが理解すべきFRPの設計思想です。

 

またマトリックス樹脂の動的粘弾性特性を理解した上で、温度と加圧タイミングを検討しながら製造工程プロセスを構築するといった観点も重要です。

 


これは、成形メーカーが理解すべき工程構築思想です。

 


アッセンブリーメーカーや成形メーカーがFRP材料の開発をできる完璧なスキルを持ち合わせる必要はないと考えます。


しかし、プリプレグの材料構成とその特性を理解せずにFRP部品は設計できませんし、マトリックス樹脂の動的粘弾性を理解せずにFRP部品を成形するプロセスの構築は困難です。

 

ある程度の経験則は重要ですが、最低限の材料知見を持ち合わせたうえで考えることが、後に量産化まで持って行ったときに問題が少ないことが多いです。

 

FRP材料と最終製品の間の物性やコンセプトのギャップが大きければ大きいほど、後に大きな問題へとつながっていきます。

 


また、逆に言えば材料メーカーも、製造工程や部品設計をある程度知る必要があります。

 

なぜならば、開発した材料がどのような製造工程を経て、どのような製品になるのかをイメージできずにユーザーが使いやすい材料や競争力のある材料を開発することは困難だからです。

 

 

このように、成形メーカーやアッセンブリーメーカーもFRP材料に関する知見を有し、またFRP材料メーカーは成形工程や最終部品設計に関して理解するなど、各領域の垣根を越えることが、FRP業界に参入する際の戦略として重要です。

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